夜闇に揺れ浮かぶ冬の薔薇

宙に飛ぶ光のサンタイヴ近し

網戸から漂い入る夕げかな
陽の照る日、日は冬日、あかるい日に、

日の陽の光の広がって
あたりいちめん純白の原
ときはとけてうずをまき
めくるめく永遠の瞬間を
垂直に切り開いていく

陽の照る日、日は冬日、あか ....
冬陽落ち廃墟の瓦礫で子が遊ぶ

震えながら花の香掬う戻り道

蠢く闇の夜陰しずまる
なんにもない
なんでもない
ぽかんとあおぞらあけまして
しずかなかぜがふいている
むおんのかぜがふいている

なにもないわたくしは
まちのけんそうのただなかで
たいこのおとをきいている ....
風一吹き静まる街に冬陽射す

ぽかんとして我一人居る冬陽の底

帰ろうよ声の木霊する冬の暮れ
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる

うねる大気が木霊して
青空が見えている

静かだ

青空を見ている

静かに


呑まれていく
わたし


青空が見ている

静かに
夜寒さの無音の部屋で飲む焼酎

薄陽射す花野広がる忘却の果て

ひたすらに草を食む牛只在りて
鈍色空は僕の心
鈍色空は僕の気分
鈍色空は行き止まり

そうしてぼんやり全てに呆けて

僕の心に花野が開ける
狭い暗渠を通り抜け
あの無上の花野に至る
遠くの森はいつの日か
愛娘と歩いた森
今頃木々が色づいて
キラキラ綺麗に輝き出し
二人で辿ったあの道を
艶やかに照らしているだろう

 娘よ、お前は元気かい?
 今頃二十歳のその道を
 ....
ひんやりと肌刺す冷気に我保つ

何故だろう独り静かに此処に居る

ゴォとまた街の彼方が唸っている
秋の夜に
煌々と浮かぶ半月は
闇に艶めく大地のあちこち
銀の涙を溢しながら
陶然として傾いていく

わたしは寝床でゆっくりと
その推移を辿りながら
迫り来る世界の無表情に
今夜もやっ ....
遠くの海に風が吹き
今にも波が沸き起こる

私は波の音を聴く
未来からやって来る
運命の波の音を聴く

水は澄み
風は冷たく
海は荒れ
碧天の下
俺は生く
鉛の体を
引き摺っ ....
訪れる
時はじんわり
湧き出づる
その時わたしはオレンジの
奥処の懐かしい陽に照らされ
生きている、生きている
くっきり浮き立つ輪郭と
物という物が発散する
確かな響きに包まれて
活 ....
曇天の下、

足早に通り過ぎていた街並みが

ぱたんぱたんと倒れ出す

書き割りの如く呆気なく

次から次に倒れ出す

後に残っていたものは

果てなく続く大地のみ

俺は ....
近づいて来る人
去って行く人
巡る日々のその中を
波打つ光に包まれて
優しい笑みを浮遊させ

車椅子の老人が
彼方の蒼穹仰ぎ見て
運ばれていく秋の午後
わたしは独り心のなか
静かに ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う
揺るぎな ....
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む

夜闇が忍び込 ....
涼やかな風吹き抜けて
水辺のススキ銀に揺れ
水面に君の顔ゆらゆらと
浮かび消えては透き通る

まことに秋の時は行く
静かに確かに冬を呼び
西の空が
赤銅色に燃え残り
薄暮が辺りを包む頃
俺は拳を握りしめ
一心不乱に進んでいく
胸の辺りに蟠る
抑えがたい不安感に
鼓動激しく息を継ぎ
夕闇の道を進んでいく

西の空が
 ....
流出する

網戸から ひんやり入って来る冷気のなかへ
私は流れ出し溶けていく
生きている 実感だけが鮮明に
意識をうっとり抱擁し
私は刹那 居なくなる

流出し続けるわたくしは、
自 ....
波、持ちあがり砕ける
持ちあがり砕ける、波
 
 わたしはいない どこにもいない

陸続と
波波
谷底から
這い上がって来る強風は
この山の頂きで
ぽそぽそと降る雪となる
郵便脚夫のこの俺は
向こうの国に郵便を
届けにこの山を
越えねばならない
いかにも陰気な顔をして
日に日に何 ....
光が充ちて来る
悪夢の奥から
光が充ちて来る

足場は崩れ
まさに死の淵
その時肩を揺すぶられ
目覚めて見れば顔が浮かぶ
灰色工員帽と蠢く闇
部屋の白壁が唐突に
無機質顕にのっぺら ....
瓦が白く光っている

烏が一羽とまっている

広がる朝の光の中を

烏と瓦が交わっている

互いの輪郭守りながら

光の海を泳いでいる
この美しい秋日、
天高くから降って来る
青い青いどよめきに
胸高鳴らせて
待っている
懐かしい
未知フルサトの到来を
予感のなかで
待っている
懐かしい未知は
遠く空へと続く道
気流の音が鳴り響く
大気圏を通過して
桜色した巻き貝の
トンネル抜けて
帰還します
奥まった意識に 
盛んに響いて来るものよ
おまえは鮮明な輪郭保ち
独り存ることの透徹を
直接魂に伝えて来る
この思考透き通る十一月
寄せては返す波のように
おまえの響きは親密に
おれの ....
風の透き通った匂いがする夕べに
螺旋階段を昇っていく
未来から到来する
未知の響きに耳傾けて
優しく渦を巻く木霊の調べに
螺旋階段を昇っていく
女の温もりも
家族の団欒も
過ぎてすっかり独りである

風が吹いて
途方に暮れて
確かな予感を持ち独りである

遠くの森のざわめきが
夜空に木霊し未知を紡ぐとき
私はひたすら独りで ....
ひだかたけし(2954)
タイトル カテゴリ Point 日付
夜景俳句218/12/1 20:16
光の瞬間自由詩318/12/1 13:52
戻り道俳句2*18/11/29 20:18
かぜ自由詩618/11/28 15:20
冬陽俳句418/11/27 14:22
街角にて自由詩9*18/11/27 11:11
失語自由詩6*18/11/25 11:52
無心俳句3*18/11/22 18:34
呆けて自由詩9*18/11/22 12:53
遠くの森自由詩12*18/11/18 16:06
夜陰の傍で俳句318/11/17 23:24
半月とのっぺらぼう自由詩6*18/11/17 18:53
意志自由詩318/11/15 12:19
時間・続(改訂)自由詩3*18/11/13 23:22
大地自由詩1218/11/12 16:19
巡る日々自由詩618/11/11 21:52
時の開け自由詩12*18/11/9 22:40
夕べの奇跡自由詩6*18/11/8 16:22
秋の時自由詩4*18/11/8 13:35
闇の推移自由詩6*18/11/7 19:00
流出・続(改訂)自由詩4*18/11/7 15:52
自由詩4*18/11/5 20:27
郵便脚夫自由詩6*18/11/5 16:45
ひかり自由詩8*18/11/4 15:16
朝の光景自由詩6*18/11/4 11:16
待つ(改訂)自由詩3*18/11/3 16:00
巻き貝自由詩16*18/11/2 19:29
詩作・続自由詩7*18/11/1 20:33
詩作自由詩6*18/11/1 16:28
独りである自由詩7*18/10/31 19:27

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