あんまり心体しんどくて
行き場を失い裸になる
そうして編み戸から入り来る
夜風をひんやり肌に浴び
生きてるなあ 生きてるなあ
私は自分を取り戻し
静かに目を閉じ胡座かく
何処にも ....
全てが終わり
全てを失い
命は保たれ
風が吹き
この静けさのなか、
この透明のなか、
私は深い井戸の底に居て
寒さと闇に震えながら
一日に一度の来光の
その瞬間を待っている ....
ぼぅっと座っている
木陰のベンチに
黒アゲハが周回し
近付いては離れていく
午前十時半、
照り映え揺れる木立の緑が
明るくまた濃く暗く
並び繋がるその相貌を
痛む目こじ開け凝視 ....
君が今さっきまで居た
空間に
光射し込み
無数の影、ゆらゆらの揺れ
わたしの脳裡に鮮やかに
真白い面にピンクの頬、
浮き立ち余韻を
響かせる
光、光
光響く
この未知なる道を
僕は行くよ、
もう希望もなく絶望もなく
(夢の通い路は荒れ果てて)
逃れ去る郷愁抱き
進める限り何処までも。
何かが流れ出て
わたしが生まれ
太古のヒカリ
夜の底から
力を貰い
未来のヒカリ
わたしから流れ出る
捧げられ 捧げる 全ては捧げもの
から だった
前進しようと思えば未だできたが
から だった
寝ても覚めても
あんまりカラカラと鳴るばかりで
もう嫌気がさしちまった
(なのに夢の空はまた
淡い淡い紅に染まり
何 ....
静けさの
充ちて
落ち着き払う
この夜陰、
独り在ることに満ち足りて
私はゆっくり沈んでいく
底抜け宇宙の底の方へ
私はうっとり泳いでいく
其処は貴女の声、発せられるところ
其処 ....
層成す緑が揺れています
奥まる樹木の向こうは白々、
高曇りの空に薄日が射し
何とも爽やかな風情です
(こんな景色のなかに居ると
身体中が透き通って
うっとり懐かしく溶けていく、
そん ....
降り注ぐ
陽の光は黄金、
人 歩む
今日という時空のなか
未知、迎え入れ
現と擦れて詩が浮かび
境と接して死が浮かぶ
現も境ももう近しく
それなら詩と死と
しとしと濡れて
行ける処まで生きませう
現と境の溶けるまで
背負った重荷の露となるまで
背を正すこと、 ....
書くべき物語はもうないのだった
すっかり何もかも失ってしまって
ただ生きて在ること、それだけが
残され 、〃うっとり〃桜を見上げ
もう何一つ
始まりゃしないのに
両手広げる、大きく大きく
....
柔らかな陽射し、
惜しげなく降り注ぎ
光の道、
何処までも続く
世界はきらきら煌めいて
風がもう絶えず吹いている
ああなんていいんだろう!
この春日の緩やかな傾斜に沿って
ゆっ ....
響きが立つ
色彩が立つ
輪郭が立つ
知覚が立つ
広がる意識 何処までも
壁が近い
浮き上がり
近い壁
くっきりと
像を結ぶ
私は喜びに満たされ
壁の響きを聴く
....
もうすっかり春になりましたね
今日は風が強いです
咲いたばかりの桜の花が
ゆらゆら大きく揺らいでいます
■□
私は街を周回していた
人波物凄い都市だった
(流れに乗り遅れたら、 ....
すっかり日々は暖かくなり
桜もいよいよ開花間近
なのに私の心は鉛の様
不安と恐怖が波打って
奥底から沸き上がる
(昨夜は凶暴な悪夢に襲われ
汗みどろで目が覚めた)
すっかり日々は ....
静かに静かに暮れる時に
涼風秘やかに空気を揺らし
懐かし憧れの未知からの訪れ
還流しながら予感に巡る
余りに忙しい社会の営み
余りに貪欲な資本の増殖
逃れ逸脱、寡黙に落ちれば
戻って ....
久々に訪れた病院の園庭は、
十数本の桜の木が
無数の赤い蕾を膨らませていた。
その生命力は、
春の大気に漲り震え
園庭という枠を獰猛に
突き破っていく不穏さを含んでいた。
膨ら ....
また一晩が明け
光溢れる一日が来たよ
風はそっと穏やかだし
空はぼうと水色だし
街は花の香に包まれて
実に飄々と軽やかに
ステップ踏んで春は行く
おれはのそっと鬱だけれど
五十九回 ....
前へ進むと
広々とした空間の開け
(紅梅はもう散り果て)
涼やかな風吹き
光、光
駆けゆく春のこの午後に
私はやや傾いて
尚、前へ進む
もう何一つ考えることなく
騒乱騒乱、
光の洪水だ
爆発的な消尽、
圧倒的な光の洪水だ
浴びる、浴びる、浴びる
(白い巨鳥が空を行く)
ひたすらに進み
ひたすらに跪き
今、生きる
この渦巻く真昼の界
....
燦々と
陽は降り注いで芽は弾け
花は開いて誰か居ぬ
誰かいたか?誰がいた?
記憶にうっすら響く余韻
懐かしく憧れた
娘の顔が
逆光に浮かぶ
)きっとまた会えるから
)き ....
一雨毎に深まりゆく
この春日に佇んで
私は浅く息を継ぐ
虚脱の朝に不安な昼に
剥ぎ取られてしまった色を探し
記憶の奥の入学式
通り過ぎてく畑の野草
お母様と手を繋ぎ
降っていた降っ ....
今日の平板を飼い慣らし
明日への傾斜を生きる私は
もう何十年もの間口を開いたことがない
者であるかのようだ
赤く燃える早春の夜空
ゴオゴオと鳴る遠い街並み
いったい出口は常に入口だ ....
春の陽に君の幻走り去る
雨降りに深まる春の匂い立つ
駆けてゆく春を追いかけランドセル
宙空に
吊るされ
巨大な空虚が
肉身を引き裂こうと
している
足場は奪われ崩れ
奈落の底を眼前にし
私はそれでも
前へ前へと
自らに言う
不安と恐怖に
貫かれながら
もう駄目な ....
春うらら
光のどけき街を行けば
子供と老婆が手繋ぎ歩み
すれ違う人々微笑んで
命の讃歌を歌い出す
季節の巡り、宇宙の鼓動と同期して
早春の雨に溢るる命かな
白鷺のぬっと歩み出る用水路
補助輪を外して漕ぎ出す春うらら
静けさ 揺れる
春の雨、
光の空から
降り注ぎ
宇宙を回遊する言ノ葉たち
凝集しては時を刻み
思考の流れをこの界へ
屈曲しながら艶やかに
在る物、在る物、造形する
静けさ 奥 ....
季節はまた一巡りし
俺はぼんやり宙を眺める
不安定な気分はいつもながら
鉛の身体も相変わらずながら
まだまだイキマスヨと独り言ち
何処からともなく湧くチカラ
指先じんじん温もって
また一 ....
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