青、
樹間に揺れ
白い巨鳥、
羽ばたいて
僕は行く
天に呑まれ

光の矢、光の矢!

蒼穹は割れ
漆黒の宇宙が唸っている
あくび一つしてみては
生の実感とやらを
噛み締める
この明るい昼日中、
ひっきりなしに白雲流れ
外気は熱波、うねりにうねり
私は不安と恐怖を抱え
青い空を眺めている

歪んだ視界に映 ....
この深夜、
網戸越しの夜風に当たりながら
独り在ることに寛いで
宇宙の時流に乗っていく
すっと孤独に留まりながら
この隙間だらけのあばら家に
雷鳴が轟くのを待っている

境界の門が開く ....
斜光射し込む裏庭で
子供が一人うずくまり
紫に色づく紫陽花を
両手で触れながら
眺めている

うねる夏の夕暮れ
深まる闇

子供はやがて居なくなり
闇に包まれた裏庭に
紫陽花だけ ....
無音の現に
頭突っ込む
頭呑まれて
言葉を捨てる
要らないんだ
要らないんだ
伝達言語、要りません
白壁囲う白い部屋に
伝達言語、要りません

 *

壁を叩く
沈黙の壁叩く ....
一つの生をたずさえて
一つの死をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

)今は何もせずぼうとして
)うねる夏の光を夢見ながら
)美しく深まっていく世界を信じ

 ....
最近は毎日が
元気出したり
落ち込んだり
嬉々としたり
鬱々としたり
したりしたりの
繰り返しだ

それでも今日は

緑照り映え、陽光に
貴女の顔は、明るんで
悪くない、悪くな ....
覆い被さるように
緑は濃く
樹間から
漏れる光は白々と
揺れる木葉と踊っている

久々に開設されたイートインで
私はアイスコーヒーを啜っていた
季節は新緑を通りすぎ
梅雨入り間近な曇 ....
今日も空は青かった
にこりともせずただ青く
無限の沈黙のうちに
それは在った

今日も私は無力だった
宇宙の虚無に耐えかねて
あなたにあることないこと
喋っていた

今日も黄昏は優 ....
今日高曇りの空の下、
肉を引き摺り歩いていた
春という大切を
明るみながら覚えていく
妙に浮わついた魂を
押し留めながら、押し留めながら

離れていかないように
剥がれていかないように ....
たんとんたんとん
連弾し
主を濡らし
雨の降る

空は灰白、
遠い目で
見つめている
眼差しが
銀の雨足、
瞼に乗せ
すっと透過し
宙を舞う

後に響く
雨音が
たんと ....
冷気が肌刺す深夜だな
まだこんなに冷えるのだな

窓の外では月と火星が
煌々とランデブーし
窓の内では初老の男が
悶々と起きている

この不思議な惑星に生まれて
この不思議な惑星に居 ....
暑い
暑いなあ
まるで真夏の暑さだ
地球が狂い始めて
オマエラ、人間のセイダロウ
そう叫んでいるかのように

路傍に屈み
タンポポの種を
ふぅと吹いて飛ばしている
子供が二人、
 ....
無音の夜
また到来し
月はない
月明かりだけある
白々と
辺り、白々と
浮き上がり
寸断された記憶の
恐怖、また襲い来る

私は私の実感を保てず
意識の外郭だけが生き残り
やが ....
雨が降る
漆黒のタール、銀に輝かせ
雨が降る
懐かしい匂い、散布しながら
雨が降る
遠い記憶の感触、浮き上がらせ

今宵すべてすべて静まり返り
わたしは独り寝の床を整える
未知の予感 ....
声と声が交わるあいだ
柔かな光が横切って
わたしは不意にいなくなる

うねる大気が木霊して
小雨は
薄日を乗せて
銀の色

濡れて
照り映える
ふくらはぎ

白く優しく季節に溶け

小雨は
薄日を乗せて
銀の色

遠く
夏の予感を
膨らませ




 ....
満月が頭上にかかり
地に潜むものを照らし出す
私は月明かりを手で掬い
落ちる陰影の青白さ
いつまでも見つめ待っている
地に潜むものの輪郭が
現、露わとなる時を
忙しく過ぎる世相の奥に
 ....
すべての親しい者達が消えた日に
おまえは無感覚となりその鉈で
自らを切り裂く
遠い億万年の記憶と一体化し
どうして今此処に居るのかと
自問を続けながら
ひたすら自らを切り裂いていく
終わ ....
紅の波打つ
ツツジの原に

揚羽舞い舞い
光の海

広がり流れて
透き通り

両手を大きく
広げてみれば

遠く花野が
開けていく

  *

鈍色空は私の心
鈍色 ....
夜陰に
静けさの
微かに揺れ動く

ベッドを囲む白壁から
白の色 剥がれ漂い出し

微かに振動する
静まり返った
四方空間に

彷徨い落ちゆく白の色の
帰着すべき基体の不在
 ....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右にかき混ぜる 
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからない
空間は
次第に重く澱んでいき
だらんと開いた手のひらに
粘りつくように ....
流れていく
ゆらゆら揺れる電線の向こう
空の青を背景に
白雲、一つ
流れていく
ゆっくりたしかに
流れていく

そうして着実に時は過ぎ
百万年が過ぎていき
私も君も彼も彼女も
み ....
君は長らく歩いて来た
独りぼっちでこの長い旅路を
天辺に着いては転げ落ち
また振り出しから天辺目指し
繰り返し繰り返し歩いて来た

今終焉を迎えるに当たって
君はまだ旅の途中
もう放棄 ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
揺るぎ ....
雛鳥の
巣を抱くような
恋をして

心臓を
貪るように
交わって

雪の降る
街で
そっとお別れを

そんな
お伽噺のような
時を過ごし

漆黒と
戯れる今は
孤独 ....
雨降りの
跳ね返りは
誰のせい?
そう問う端から
車が来て
水しぶき上げ
びしょ塗れに
私を濡らし
通り過ぎる

)あゝこの持って行き場のない気持ちを
)あゝこの不可避な連鎖を
 ....
咲き誇る大輪の薔薇
甘やかな空気に
白く濡れたふくらはぎ
閉じられる傘

雨上がりの明るみに

触れ合う額と額
優しい石鹸の匂い
紅に染まる薄い頬
書く、
打つ、
叩く 言葉
ひたすら 
書く、
打つ、
叩く 言葉

朝方
酷くうなされ
幻のなか
さ迷い出た
便所に行っても
幻に包囲され
恐 
の文字、
踊った
 ....
春の夜に
煌々と浮かぶ満月は
闇に艶めく大地のあちこち
銀の涙を溢しながら
陶然として傾いていく

わたしは寝床でゆっくりと
その推移を辿りながら
迫り来る世界の無表情に
今夜もやっ ....
ひだかたけし(3031)
タイトル カテゴリ Point 日付
光の矢自由詩320/6/10 12:43
季節の行方自由詩320/6/9 14:32
すっと孤独に留まりながら(改訂)自由詩520/6/7 3:40
推移自由詩420/6/6 19:50
歌降る歌降る自由詩2*20/6/5 21:17
一つの生を、一つの詩を自由詩4*20/6/5 12:50
自由詩420/6/3 19:06
揺れる自由詩320/6/1 18:38
今日もまた(改訂)自由詩720/5/24 20:05
春の意志自由詩720/5/22 21:13
雨音自由詩620/5/16 19:38
月と火星と初老の男と(改訂)自由詩520/5/15 16:49
夏日自由詩7*20/5/12 19:03
月夜自由詩420/5/11 19:09
雨が降る自由詩8*20/5/9 21:25
街角にて自由詩4*20/5/8 12:51
銀の雨自由詩420/5/6 18:14
地に潜むもの自由詩4*20/5/5 21:21
対峙(改訂)自由詩320/5/3 19:54
呆(改訂)自由詩520/5/1 3:14
白のイマージュ(改訂)自由詩420/4/30 19:09
空と盲目自由詩920/4/25 18:57
流れていく(改訂)自由詩320/4/24 13:30
反復自由詩420/4/23 19:16
今という時自由詩520/4/22 20:56
孤独自由詩420/4/18 19:52
連鎖自由詩3*20/4/13 17:51
逢瀬自由詩320/4/11 19:56
書く、打つ、叩く(改訂)自由詩420/4/8 20:41
満月とのっぺらぼう自由詩220/4/7 18:37

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