腐乱した犬の
うつくしい歯が
その人の口から語られた時、
男根たちは騒然となり
子宮たちは安らいで
世界の終わりを迎えていた
鈍い痛みを抱え
月も氷るこの冷夜
紡ぎ出される救済の
余りの味気なさに
呆れては
ぽつぽつと辿る
情念の
小さな鏡に反射する
忘れ去られた純情に
身悶え七転八倒する

消失した記 ....
繰り返し
欠伸と不安のうねり、

繰り返し
安定剤と躁鬱のうねり、

あるモノあるモノ
切迫し

また夜が来て夜深まり
私の宇宙を横切って
闇夜の混沌充溢し
指揮系統の不在 
 ....
開いた本の頁が
ほんのり茜に染まる頃
太陽は傾きながら爆発し続け
西空はやがて色彩渦の奔流となる
わたしは本から顔を上げ
地上の夕べの目眩く一瞬を
遠退く意識に刻み込む

夜闇が忍び込 ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして浮き立ち
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
 ....
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている

大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
訪れる
時はじんわり
湧き出づる
そうして私は橙の
脳裡の懐かしい光に包まれ
生きている、生きている
くっきり浮き立つ輪郭と
物という物が発散する
確かな響きに包まれて
活きている、 ....
から だった
前進しようと思えば未だできたが
から だった

寝ても覚めても
あんまりカラカラと鳴るばかりで
もう嫌気がさしちまった

(なのに夢の空はまた
淡い淡い紅に染まり
何 ....
銀輪の
跳ね返る
光の束
眩しくて
ガクンと揺れた
視界の先
道行く人の
後ろ背に
未知悠久の
時、踊る

あゝ何もかも
渦巻いて
異郷となって
迫り来る
この懐かしい
 ....
歌声が聞こえていた
夢のなか
濡れるようなヴィブラート
君の弟だと紹介された
いがぐり坊主に白のTシャツ
別世界の住人みたい
僕たちはすぐに打ち解けた

萎れいく花々
目醒めてみれば ....
また夜が来て
まだ私は生きていて

堆積した記憶の回収不能
後頭部辺りから凹んでいき
何一つ思い出せない
何一つ思い出さない

)モノクロームの響き充満し

また夜が深まり
まだ ....
永遠からすれば
一瞬に過ぎない
この今を
落ち続けている
この俺は
奈落の底まで
落ちて行く
後少しで
叩き付けられる
俺の体が
叩き付けられる

時間は普通に流れている
空 ....
知覚感覚が
空の彼方を震えさせ
海の底を掻き回しても
それがいったい何だと言うのか
僕には大事な夢がある
胸震わせる予感がある
たとえ旅路が終末でも
置いていけない憧れ持ち
五感の海を ....
夢の夜空に星々は
巨大に不穏に輝いて
渦巻く星雲が三つ四つ
眩めく明るさに発光し
それぞれの存在を鮮やかに
闇のスクリーンに穿っている

夢の夜空はやがて刹那
一つの艶かしい発光体とな ....
赤黒く
どろんと上がった
月女
生きたいのか
死にたいのか
麻痺した地平を
遥か掠め
永久なる灯火
求めさ迷う

生かされているから生きるのか
生かされているから生きるのか!
 ....
静けさ
ちょこんと
座っている
気付けば
夜底に
座っている

私は寝床を整える
不眠の夜を払うように
新しいシーツで敷布団を包み
黄色い朝の喧騒に
心の奥処の祭壇が
荒らされ ....
ワンルームマンションに独り月氷る

夜寒さのなかで飲む水割り焼酎

沈黙を白く照らして冬の月

月光に抱かれ眠る子等の夢
夜は虚ろなくらげ模様
太古の姿に後退し
触手で宇宙と交歓する
共感したり反感したり
寄り添ったり離れたり
形象渦巻く意識の中を
ふわふわふわふわ渡ってゆく

(表象意識は鈍くなり
わ ....
夜が深まっていく
連絡がつかない、繋がらない
隣室からコツコツと壁を打つ音、間欠的に
遠くの森を手繋ぎ歩いた愛娘は
青春を謳歌しているだろうか、今頃

夜が深まっていく
オレンジジュース ....
  *
 
焦点を合わそうとすると
それはするりと逃れる
焦点を外すと
それはにゅっと姿を現す

言い知れぬ予感
異様な雰囲気

永遠の兆候は在るだろうか?
永遠の刻印は響くだろ ....
一つの生をたずさえて
一つの詩をたずさえて
赤ん坊から老人マデ
寄り道しながら
僕は行く

)今は何もせずぼうとして
)うねる夏の光を夢見ながら
)美しく深まっていく世界を信じ

 ....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ



あさ
こぼれる
いとしい
ことばだけ



ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
気が遠くなる
丸い三角や四角が浮かぶ
この静けさに包まれ
気が遠くなるよ
やがて深く沈んでいくんだ
この静けさに呑み込まれ

静けさの
深淵が奏でる
 全て諦めたとき
静けさが
 ....
鮮やかな轍を残しつつ
決して姿を現さぬもの

底に沈んだ泥団を
清められた手で掬い上げ
透過する心の底
遥か彼方の源頭に
耳鳴り繁く接続する

見えないものと見えるもの
貫き生きる ....
白く燃えている
白く
詩の言葉のなか
わたしはもはや
この世の物ではなく
白く燃えている
白く


純白の壁取り囲む
純白の壁走る
純白の耳鳴り
純白に総毛立ち

体が空だ ....
暗闇に蒼白い河原の
小石夥しく静まり返り
流れ澄む川は無音
黒く光る水面の異様
恐るべき氾濫を孕み
奥まった沈黙を保つ

決して終わらない不安は
この沈黙という深い謎に
剥き出し曝さ ....
  *

新年の夜が深まり
姿を持たぬ思考たち
五感の縛りから解き放たれ
星空の下で踊り出す
遠い過去へと遡行する
魂の営みの始まりだ
透明な窓辺で落ち合って
僕ら、それぞれの旅に出 ....
目を瞑ると
さっと広がる
闇のなか
光の気の熱の子が
くらげのように
浮遊する
泡立つ
暗い意識のなか
触手を伸ばしたり
縮めたり
反発したり
共鳴したり
それは忙しい
流動 ....
どんよりとした
鉛の雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きか ....
日がな一日
謎は謎として取り残され
私は五感の縛りに沈む
思いは鬼火のように揺れ動き
逃れる的を掠めていく
現象する本質を
律動する思考を
掴みかけては取り逃し
夢の底で溺れている
 ....
ひだかたけし(2621)
タイトル カテゴリ Point 日付
うつくしい歯の神話自由詩721/2/16 21:12
荒れ地自由詩421/2/16 19:04
闇夜自由詩4*21/2/15 20:06
夕べの一瞬自由詩421/2/15 17:35
在るものの開け自由詩721/2/12 18:23
〈根源悪〉の原体験(改訂5)自由詩421/2/12 13:19
イキテイル自由詩821/2/11 19:09
から ガラ自由詩521/2/10 19:33
異郷に揺れて自由詩521/2/9 18:47
メタモルフォーゼ自由詩421/2/8 18:56
記憶喪失自由詩521/2/7 20:00
人生と信自由詩421/2/4 18:53
願い自由詩421/2/3 22:51
夢の夜空自由詩521/2/1 20:53
月女自由詩521/1/31 21:26
静けさ、ちょこんと自由詩12*21/1/30 19:21
冬月夜俳句521/1/29 20:24
幻視くらげ2 夢我自由詩521/1/29 18:58
繋がらない夜自由詩721/1/28 20:39
詩的認識ロンのために2自由詩421/1/27 22:57
一つの生を、一つの詩を自由詩621/1/26 19:41
推移自由詩521/1/25 20:19
後もう少し自由詩821/1/24 20:26
自由詩521/1/23 19:03
反転記憶〇赤チン小僧自由詩421/1/22 19:57
月下自由詩721/1/20 19:18
詩的認識ロンのために自由詩521/1/19 18:57
幻視くらげ自由詩7*21/1/18 22:35
道草自由詩8*21/1/17 19:45
独白自由詩821/1/16 21:33

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