底冷えする
夜に横たわり
祈っている
迫る闇が咆哮し
幾つもの夢が朽ちるとき
心の奥処の祭壇に
火を絶やすことなく
灯して、灯して
(不眠の夜を透過する
純白の雪を待ちながら ....
ピンクムーンに照らされて
今宵、彼方へと旅立とう
仄かな明るみと陰影と
小刻みに震える声達が
旅の一瞬と永遠と
微かなその予兆すら
静かに呑み込み
消していく
ピンクムーン、ピンク ....
この深夜
横殴りの雨が降り
街を冷たく濡らしていく
布団のなか僕は君のことを思う
遠くへいってしまった君のことを
二人とりとめなく温め合った時間のことなど
雨音は空虚を満たし、
....
光を感じ窓際に立つ
少女の夢の遥か向こう
今日も世界は廻っている
虹が地平遥かに立ち
吹く風、覚醒を誘うとき
花を世界は少女に置く
(チリチリ舞う風の粒子
光はそれらを透過して
....
今日は冷たい北風が吹き
街はもうすぐ黄昏です
西陽が君の横顔を照らし
はにかむ瞬間を捕らえます
それは本当に美しい
この街角の光景です
(あゝ後何百年
待てばこの瞬間に出会えたのか
....
坂の下は霊魂の溜まり場だった
降りて行ってはいけない と彼女に言われた
彼女は二十四の歳に逝ったままの若さだった
その代わりにある家を見て欲しいと言う
二階に八畳間が二つ在るのだけれど何か ....
さざめいている
ざわめいている
私の頭のなかで
何かが、
輝いている
熱している
巨大な明滅凝視、、
近づいている
波打っている
揺れ廻り 廻り揺れ
予測 ....
から だった
前進しようと思えば未だできたが
から だった
寝ても覚めても
あんまりからからと鳴るばかりで
もう嫌気がさしちまった
(なのに夢の空はまた
淡い淡い紅に染まり
何 ....
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
崩れ去ってゆく
跡形もなく
私たちは 私たちは
何処から来て何処へ去るのだろう?
白い波頭が押し寄せ
次から次に押し寄せ
....
夢の底を揺蕩えば
予感に包まれ
陶然となる
夢の向こうとこちら側
遠く近く奥まって
底の底に横たわる
わたし独りのたましいが
融通無碍に踊り出す
この晩秋の青い時
深い眠りに揺蕩って ....
眠りの
夢の
底割れ
目覚めるモノ
輝く尖塔を壊し
ジクザクに走る力線
煌めく城壁を巡り
スイチョクに伸びる力線
開いた瞳から触手伸び
掴み取る、掴み取る
掠め現れる無数の影を
....
一陣の風、
吹き抜ける
この晩秋
空は青く
何処までも高く
天蓋は涯までまぁるく
外部はなく
凪いで
人々は歩を進める
この地上にて
神々は居られ
その豊穣なる艶姿
人 ....
アオム、アーメン。
悪が栄える。
崩れゆく自我の証しを、人がとがめる我らの罪を、日々の糧の中に見よ。
天の意志のはたらく余地はどこにもない。
人間はあなた方の名前を忘れ、あなた方の国を離 ....
帰っていく
毎夜毎夜、帰っていく
天上の響き、ヴェールに覆われ
懐かしさだけ降って来る
(予感と思い出が溶け合って
宇宙の心臓の鼓動を聴き
それは一瞬の永い道のりを)
帰って ....
私は今花崗岩の上に立っている。ここでは同じ大地が地球の深奥の地点まで直接達している。どんな地層も、どんな夾雑物も、私とこの確固とした太古の基盤との間を隔ててはいない。
この山頂はこれまで生あるも ....
切通しを歩いていった
母と二人で
縁切り寺もあった
夢の鎌倉で
屋台では
地球駒が不思議な同心円を描き廻っていた
眠り駒……
わたしはその時、
じぶんが自分であることに ....
太古の記憶、血の匂い
奥まる闇の、光のなか
私は浴びる、その血潮
とこしえへ、とこしえへと回帰する
渇望がある、満たされぬ
孤独を貫く、深淵の自我
....
この夜に目醒め
この夜底に触れる
私にはもはや
親兄弟家族親族はなく
現世的無縁仏だ
円やかな現世孤児だ
そこでは
私という存在が剥き出しで
そこでは
私が真っ裸のすっぽんぽ ....
それを夢見たのはいつだろう?
すべては澄みわたり凪いでいた
吹き抜ける風、高い空
光の彼方に虹は立ち
すべては澄みわたり凪いでいた
秋も半ばこの十一月
日射しの入射は既に深く
カーテ ....
黄金にかがやく地平が在ル
あらゆる意味を無意味化する
強度に満ちた運動の果て
黄金に輝く地平が在る
それを夢見たのはいつだろう?
すべては澄みわたり凪いでいた
吹き抜ける風、高い空 ....
高い高い青空が
広がり 木々が
揺れている
秋が半ばを過ぎる頃
人は奥まる光のなか
ゆっくり揺らめき進んでいく
あゝこのかぐわしき大気のなか
暗い孤独な内面を
かなぐり捨てて裸にな ....
誰かがシャワーを浴びている
雨はすっかり止んでいた
林檎を囓る少女が独り
光は妙に屈曲して
迸る水を艶かしく
向かいの鏡に映していた
今夜は早々と眠りに落ちる
明日はきっと晴れる ....
ああ
初々しい顔して
また夜が来た
ひんやり冷たい
風も吹く
向かいの家では橙の
灯りがともり
人影が
それは忙しく動いている
わたしは独り寝の床を整え
さっきからじっと座っている ....
木立の緑が揺れている
私は冷たい虚を飼って
鉛の監獄から眺めている
気だるく憂鬱な昼下がり
空は一面の灰白模様、
風はもう絶えず吹き
荒れ果てた街並みが
ぱたんぱたんと倒れていく
....
晴れている
高い高い秋晴れだ
(さっき赤トンボと眼が合った
彼は垣根に佇んでいた)
気付けば今日のポストには
投票用紙が入っている
彼はたどたどしい手つきで
封を破り
その ....
無音、
移動していくモノの影
独り在る茫漠の床で
眠りの底から掻き分け掻き分け
異界の異様な感触を
意識の触手、体に刻む
無音、
夜陰にひっそり回帰し
剥き出しのたましいを
宇宙 ....
真夜中が近づいている
ベランダに出て夜風にあたる
街灯の列が何処までも続き
なんて素敵な夜だろうと思う
昼間森で見た花の群落が
今頃青白く光っている
風は優しく穏やか
主観と客観が溶け合 ....
孤独である
関係を全て切断し
諦めている、静かに
幸せとか不幸せとか
ただ驚くのだ、
世界に自分に詩に一日に
オドロキは転がっているから
至るところに
オノレが在る、セカイ ....
感覚する、
風の通り道、雨の匂い
そのたび新しい自分がいて
ぼくは大きく両手を広げる
この広大な地球の上で
この肉体を抱えながら
笑っている泣いている
すべて愛しい日常些事
一つ一つ噛 ....
眼が在り映り凝視し続ける眼に
脳裏の戦場の消えない殺し合いか
眼前の草むらの裸の子供たちの激しい絡み合いか
展開され焼き付けられるその光景
草むらの草いきれも
左足にぐるぐる巻かれた ....
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