ひた潮の
須磨のともどち
君はいま
健やかなりし
われ願うかな
私のレントゲン写真は
典型的な骨格標本だと言われた
献体をするのかしないのか
伯父は献体の一部を持ち込み
顕微鏡で紐解いていたという
伯父に似ていたという私はどうするのか
問題 ....
葱刻み納豆をねる
煮干しの眼が俺をみる
出汁巻きで妻を慰めるわれ
水茄子おもい西ながめ
鮭を焼き今日を占う
目玉焼の難しさ息を吐く
立ち食いのかき揚げ蕎麦は総崩れ
....
靴紐を締めてあのカーヴを曲がると
この街には戻れない
何もかも捨てて行くのは西の街
この街はとても錆びていて
誰も歩いてはいなかった
唯一の救いだった屋台のラーメン
この街は無言過 ....
お母さん
ぼくは何故イワシ焼く
味噌汁
納豆
生玉子
時計みて
かきこむ立ち食い蕎麦
辛口の紅鮭
玉子かけごはん
昨夜のカレー
椀に盛る母
フランスの銅鍋を購うという我 (喧嘩する)
妻の棒々鶏はステーキのような
サクラマスを食む季節
ポテトサラダは夏の味
トマトに塩ふり母想う
幼き頃のカレーはいま何処
....
雪降る夕日を背にする哀しみ
晴れ晴れと真澄の空ゆく
花びら咲く木蓮の風
小指でそっと紅ひく
刹那の輝きアンドロメダに隠れて
肉斬られ
花が咲く
火が走り
血潮吹く
さらさらと
河原は静か
変わらぬ風景
鳥がさえずり
南無妙法蓮華経
せめての涙
この街は錆びていた
無音の煙りと
もろみの匂い
誰もいない
2両編成の電車の音だけが人の予感
バンドネオンが
かすかに響く
黄昏の街
彷徨った果てに
たどり着いた
そこ ....
ドゴール空港は鉛色の霧に閉ざされ
次にくる四分音符を待っていた
誰を待つこともないのに
今朝食べたチキンサラダの余韻が舌に残り
ぼくは何故か戸惑っていた
くたびれたレインコートが黒ず ....
塩をなめ
酒精をすする
宵闇に
浮かぶ大きな
青蛾かな
墨流れ
さがす褥は
花埋み
わたしの流した涙が
水紋となって
何処かの誰かに掬われたなら
どんなに幸せでしょう
千の言の葉から
一枚の枯れ葉を拾ってくれたなら
どれほどの救いがあるでしょう
ひとしずく
....
虞よ…
虞よ…
我が騅は踏み出せず
ただ嘶くばかり
四面は楚歌に満ち溢れ
凱歌は空を覆う
天帝は我らを召さんと欲す
白銀の刃は舞い
如何とやせん
頬笑む君 ....
空が鳴り
紅いダリア咲く
水茄子の
届く季節は
時めいて
ゴーヤ
噛みつぶすほろ苦さ
スイカ食む
種の多さに
笑い呼ぶ
素麺を
ゆでる汗拭く
食べられぬ
....
蕎麦をすすり
息をつく
なにもいらないわ
赤と黒のシルクを
紫煙に揺らせるだけ
男の数なんか想い出せない
それは煙りの流れのようなものだから
紅いステップに意味はあるかしら
とてもじゃないわ
そんな ....
レタスの香りは
月に似て
静かに笑うよ
水の香りが夏を待っている
ぼくはまだ真夏の最中
月の鏡は正直だけれど
すぐに嘘を吐く
マヨネーズをかけたなら
ばれてし ....
腹を裂く
いわしのまなこ
可愛らし
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