鳴いた空はとても紅かった
ぼくは入道雲を追いかけて
夕暮れを防ごうとした
追いかけても届かない哀しみは夏の色
ごうごうと空が鳴ったのは幻だったのだろうか
紅色の空はあまりにも鮮烈で
ぼ ....
アヴェマリア
乳香焚きしめ
我が子抱く
口からこぼれる
菩薩の名前
枯れ果てた
我が子を抱え
歌いつる
母の教えし
数え歌かな
帰り来ぬ
我が子抱きしめ
空仰ぎ
....
今日も漂いクラゲになって
疲れ果ててもおれは歩く
いにしえにこだわるきみ
変わりゆく言葉は生き物
出せないきみはなにしてる
あぁ…
真っ赤なダリアは何処へいったのだろう
空が鳴く
入道雲に誘われて
何処へいったのだろう
姉さま
教えてください
ぼくの紅い花がどこに往ったのか
白い壺に入ってしまっ ....
香を焚き
疲れを癒やす
ゆうべには
ほんの少しの
笑みがただよう
五味六国
クイズのような
ゲームする
我が家のならい
静かにすぎる
伽羅を焚き
立ち食い蕎麦を
す ....
酔い酔いて塩なめる
塩なめて初めの味を知る
浜に出で潮の匂いただよう
岩塩をこつりと噛む苦さ
身体を走る潮の匂い
伽羅を焚く
明日の夢みて
糸たぐる
未来をうらない
青雲たなびく
ひとつとして同じ物は無い世界にいきる
夢はひとつとして同じ物は無い
だが人はひとりで歩く哀しみに騙され
群れようとする
己を守ろうとして群れをつくる
均一を図る愚かしさは恐れからやっ ....
人は五味を糧として
五味六国を彷徨い歩く
移り気な紫陽花はぼくに語りかける
耳をそばだて聴いてみると
かすかに聴こえるけど
何を言っているのかわからない
紫陽花は黙っているが心地よい
語らずとも
ぼくはきみをみているのだか ....
歯の隙間気になるアワビ
明日は覚悟の鰻と勝負
苦手な刺し身妻に寄せ
誰が言おうと立ち食い蕎麦
胃を無くし鏡に映る骨格標本
みやこどり
そのなをおわば
あくがれの
わがなとどけよ
きみがしとねに
透明な
透明なさかなになった夢をみた
泥酔いの眠りにしては
少しはましな夢をみた
オレは上流を目指して
虫を食み明日を追う
梅花藻をすり抜ける快感と
冷たい水流は美しい
み ....
灰かぶりすべてがもどる海と山
鉄クズを研ぎ澄ましては夢をみる
縄文の炎のごとくわれ焼き尽くし
オレンヂの熾火に酔って明日想う
犬を追い猫を追いては天地を駆ける
醜きを ....
月の夜に
踏切わたる
影ふたつ
なみだに震える
かすかな歌声
背負われて
下る坂道
肩越しに
昇る満月
怪しくにじむ
帰りみち
路地を漂う
夕仕度
カレーの香りに
....
路迷い闇路のしとね花埋み
ワタスゲに夢を託して風を待つ
サリサリと舌に染み入るかき氷
わたあめをあがなう硬貨にぎりしめ
風鈴に四万六千あずけつつ
アサガオの蔓をたどれば空の穴
鉄塔の穂先に咲い ....
サバ缶買い占めニヤリと笑う
マヨネーズか醤油か戸惑い唸る
かいま見た妻の横顔皮肉の笑い
浮気心でサンマ蒲焼に手をだす
猫缶がチラリチラチラ気になる
選択肢の多い猫に嫉 ....
何ということだ!
電車通勤から車通勤にかわり
あの立ち食い蕎麦を啜ることが出来なくなった
辛口の出汁に
先ずはサックリとしたかき揚げを浸し
さらりとした油を馴染ませ
葱散らし
一 ....
何もかも
消え往く景色
灰色に
香を焚きしめ
君待つ部屋に
憧れの君いま何処
妖しき姿に魅いられる
誰がために君は往く
伽羅を焚き君想う
漂う蛾眉の美しさ
伽羅を撒き肩を抱きしむ
ぽつりぽつりと龍脳を噛む
かつかつと黒檀刻むわれ
白檀という我が名前
羅国の夢は遥かに漂う
紫檀の龍笛微かに響く
神代の欅を如何とやせむ ....
ぼくは緑色だと誰かがいう
植物ではない
ぼくはぼくで
琥珀色だと自信をもっていたのだけれど
誰かが緑色だという
琥珀色で在るために
琥珀の酒を毎日注入しているのだけれど
誰かが緑 ....
此処でいえない
蕎麦すする
朝の光に向くままに
珈琲を煎りヴォカリーズ聴く
西も東もわからないままに歌う
妻よりMitsoukoを奪う
一尺の梵鐘で今日も始まる
緑檀の数珠をかけ経を唱える
クスノキの枝に吊るされたブランコから
洋紅色の貨物船が大きく小さく見えていた
船の食堂ではカレーライスかステーキを想像した
船員というのは美味しい物を食べると思っていた
あの日の昼はホ ....
あの頃の街は灰色に閉じ込められて
誰もが外に出なかった
紅いダリアが咲いているというのに
入道雲が空を鳴らしていたあの日
浴衣姿で空に消えて往った
ぼくは哀しみを理解できず
た ....
海の魂を宿した君
アイラは健在だったか
その余韻は軽く
深く
ぼくは何も知らない
微かな音信だけが
雨音に
だれ知らず
きみがかんばせ
さがし彷徨い
風の盆みる
17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38
0.44sec.