酔醒めて軒端に匂ふ春の風
本日のお品書き~おでん~
まっすぐに串逆立てて関東煮
昭和三十年代に地方の子どもだった男子(とくに大阪から西)が、放課後に直行するのは春夏であれば駄菓子屋。五円のみかん水というガジ ....
~本日のお品書き 河豚さし~
とほたふみてふ虚実皮膜や河豚の皮
たっぷりの氷水を用意して、虎フグの皮を湯引く。
背中の黒い部分は二十秒。とうとおみは十秒。すぐさま氷水に入れ十 ....
「ざわざわ」と潮風の音 髙い空。
~本日のお品書き『海鼠』~
関東は青関西は赤海鼠
「もうそれくらいにしていただけませんか」
店主が柔和な顔で怒っている。
ここは京都北白川「ん」。学生時代に通いつめたおでんの ....
鬼は内しばし歓談{ルビ節分会=せつぶんえ}
福は外外とは誰ぞの家かもと
月兎{ルビ杵=きね}に仰け反る良夜かな
{ルビ聚=あつ}めたる月光きざす魚市場
春一番吹いて耳朶やはらか ....
うちの仔は地球生まれや冬うらら
オリオンの夢を見てるか猫眠る
梅が香や流るる水に影一つ
月のない晩に涙の人拾う
透明の仔猫拾って新聞紙
あくびして痛む顎もつ焼き魚
満月を放って収まる腹の虫
引き潮のレコード盤と海なし県
今日というお地蔵さ ....
見せしめは いきつけの店クローズド
ワンルームマンションに独り月氷る
夜寒さのなかで飲む水割り焼酎
沈黙を白く照らして冬の月
月光に抱かれ眠る子等の夢
ふゆのみず一枚ものの山の{ルビ膚=はだ}
日向ぼこ先客ありや梅の花
冬禽のほおばる橋や信濃川
かざはなとともに踊りの孤軍なり
冬帽子かぶるもぬぐも父めけり
とつぷりと{ル ....
阪神大震災
冬闇やラジオわななくなゐのあと
名月を背にして仮面舞踏会
居待月駆けっこ終えて唄う子ら
窓際の席を求める妻月夜
君が好き君が大好き初茜
お揃いの冬帽子で行く散歩道
胴長の猫眠る横の初日記
我すきの古俳あつめて冬ごもり
野分去て猫佇むや破れ堂
太平をねがひて詠へ去年今年
此宵の月を肴に酒の酔
上れ〳〵坊ンより伸るいかのぼり
相合の肩寄合ふて雪見傘
秋晴 ....
今日の灯を消してあしたの福寿草
塩辛い水を湛えた星の冬
ヒーリング音楽を聴いて去年今年
今日よりも明日はもっと福寿草
{ルビ三度=みたび}ばかり 夢魔泣きはらし 新雪の島
裏返る原っぱである {ルビ蝸牛=かぎゅう}も春めき
雪の丈 常夏の丈 冬 海の脊索
ひらがなも漢字も皆 一面銀世 ....
手袋の中のこぶしや聞き上手
{ルビ皹=あかぎれ}の手に触れる手もあかぎれて
{ルビ凍星=いてぼし}を枕に猫とともに眠る
いにしえの銅貨貫く{ルビ去年今年=こぞことし}
ヘ ....
寒月や十二単衣のトロルたち
雪もよい由なしきっかけあり喧嘩
灯も消えてイブのチャウダー出番なし
魔法なら解かないでくれ冬茜
チャウダーに木の匙そえて二日朝
初雪やダイヤモンドが拾う音
....
果てのない選択終えてカプチーノ
冬茜あふれる思いでいたとして
クリスマスの後ろ姿と風一つ
たおやかなみかん盆栽に雪降り積もる
夕栄の襞を染め合う冬のかぜ
初雪というには白く無く落ちる
着ぶくれてすこし放免さんぽ道
葛粉とき仄くらがりに曲げる背
ひなたぼこどこか暑くて向き数多
とえば澄み応じてみれば天の河
音一つ火星またたく裸眼にて
じぶんとは囲炉裏をおもう{ルビ雨虎=あめふらし}
つきなみの{ルビ濤=なみ}きわだっている広広と
{ルビ蘖=ひこばえ} ....
冬茜二度とチャウダーつくんねえ
ひとことも落さず軒の{ルビ冬薔薇=ふゆそうび}
雲にふちないと気付いて手を合わす
窓をふく雑巾窓に出会う冬
今という今はもう過去冬の街
コップ置くだけなのにふふ空匂う
かたくなに抱かれる事は拒むのに
熟れた柿熟れない柿に枝垂れる
学童らのマスクの列も季節なく
ハイウェイ掛かる橋から身は投げぬ
かたくなにマスクをしない人がいて
性を買う行 ....
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