センドウ先生の内緒話(ろんぐばーじょん)/北乃ゆき
 
診療所の待合室はとてもしずかでいつもいるはずの
センドウ先生の奥さんも
めがねの看護婦さんも
他の患者さんもいなかった
待合室で5分も経たないうちにひょろ長いセンドウ先生がドアを開け
「こっちにおいで」と手招き
診察室は待合室よりもっとしずかで
わたしはセンドウ先生に
「おなかがいたいの」
と先生の耳元でささやいた
「どのへんが」
しきゅうのあたりをさして
「このへんが」

「いつからだい」
「きのうから」
「あのねせんせい」
こそりこそりないしょばなし
「きのうからねぱんつがきたなくなっちゃうの」
「パンツがかい」
「びょうきかな」
「赤茶色に汚れるんだ
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