センドウ先生の内緒話(ろんぐばーじょん)/北乃ゆき
 
わたしの町においしゃさまは一人しかいなかった
そのたった一人のおいしゃさまのセンドウ先生は
竹山さんちのかなちゃんの頭病みも
白田さんちのとおるくんの腹痛も
お寺のとなりのサダおばさんの腫れ物も
川向こうのダイスケさんの虫歯も
あっという間に治したそうで
「あの先生は名医だ」と裏のおばちゃんはいつも言って
それを聞いた隣のタキさんも
「あの先生は名医だ」と言って
それを聞いた母さんも
「あの先生は名医だ」と言った

じゅうにさいのある日
下腹部に鈍痛を感じたわたしは
「おなかがいたい」と母さんにいった
母さんは「センドウ先生に診てもらいなさい」とさらり言った
診療
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