異形の詩歴書 13歳/佐々宝砂
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しかし、私には、どうでもよくはなかった。なにしろ、「詩は私のための文学なのだ!」と決めた直後である。私はその『現代日本詩集』をそれこそ舐めるように読んだ。今もこの本は私の手元にあるが、うかつに開くとぽろぽろとページがこぼれ落ちる。これほどひどい状態になるまで読みこんだ詩の本は、後にも先にもこれしかない。
私がこの本ではじめて出逢った詩人はたくさんいる。八木重吉、三好達治、吉田一穂、野口米次郎、大手拓次、金子光晴、森鴎外、室生犀星、高見順、神保光太郎、蔵原伸二郎、草野心平、安西冬衛、北原白秋、堀口大学(中原中也と高村光太郎と萩原朔太郎の名が抜けていることにお気づきだろうか。私
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