異形の詩歴書 13歳/佐々宝砂
 
、けしてよい本ではなかった。そこには佐藤春夫のヒノマル万歳の詩が載っていたし、「螢の光」の4番などというやたらに愛国的なものも載っていた。今から20年前の話だけれども、いくら何でもその内容はとてつもなく古かった。だいたい中学生のための現代詩集、と銘打っておきながら、そこに収録された詩は全然現代のものではなく、いくつかはこむずかしい文語体の詩だった。私は文語を読むのに不自由がなかったが、普通の中学生は文語にはめげるのではないか、よくわからないが。全く、どうしてこんな詩集が黙認されていたのか、今考えると不思議である。きっと、中学生のための詩集、などというものは、誰にとってもどうでもよかったのだろう。
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