異形の詩歴書 13歳/佐々宝砂
それまで私は、特別に詩というものを意識しなかった。しかしこのとき、突然のように、詩に対する愛着が意識された。私は詩が好きなのだ。それは母から与えられたものではなくて、学校で教わったものでもなくて、私が自分で見つけた、私のための文学なのだ。私はそう信じた。本当のことを言うならば、私は結局母の呪縛を完全には逃れ得なかったし、かなりたくさんの詩を学校で教わった。問題の『現代日本詩集』だって、とどのつまりは学校経由で買ったものだ。しかし、私はこのとき、確かにそれを自分で見つけたと信じた。そのように信じたかったのだと思う。
ようやく手に入れた『現代日本詩集』というその本は、当時の水準から見ても、け
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