異形の詩歴書 13歳/佐々宝砂
私の小遣いの8割は書物に変じていた。
さて、そんなある日のこと、担任の教師が、中学生向きに編集された本の注文書をクラスのみなに配った。あまり面白そうな本はなかったし、買わねばならないというのでもなかった。買いたければ買え、という程度のものに過ぎなかった。しかし学校経由で買う本だから、間違いなく親が金を出してくれる。こんな絶好のチャンスを逃すものかと私は考え、思い悩んだ揚げ句、『現代日本詩集』という本を選んで注文した。すると、担任教師が、「こんな変なものを本当に注文してよいのか」と私に問うた。私はそれを聞いてひどく頭にきた。詩が読みたいから詩の本を注文するのだ、文句あるか。
それ
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