あの日……/大町綾音
 
を彷徨おうかとも思ったのだけれど、体力的な問題、そして時間的な問題であきらめた。
 一軒だけ、本屋に入ることにする。
 さっきとは別の駐車場に入るための道順を歩いて確かめた後、自動ドアのガラス扉をすりぬけて書店へ。この本屋の名前が、「A書房」という……。
 なぜ? そんななにげない店名が気になったのかと言うと、もともと書店の名が人名であるということはあるのだけれど、私の昔の友人とその名が同じだからなのだった。(たぶんこの書店は全国展開していて、どの街にあっても違和感のない名前ではある)
 彼女の名前は「A……ちゃん」という。うん、今言った。少し口ごもるのは、彼女の名前を書くことにすこししし
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