眠ることで/岡部淳太郎
 
眠ることでなんとか赦されているように思えて、夜はそ
のために親しい。けれども、眠れない夜はいつもやって
きて、私を不安にさせる。たとえば石のような硬さと冷
たさのなかで、それでもふるえながら眠ろうとするのだ
が、そんな時に限ってぐるぐると様々な思いを経巡って
しまって、眠れないのだ。そんな長い夜、私には明日は
ない。今日という日がずっと一直線につづいて、それが
明日と名づけられた新たな平面へとつながる、時間の連
続を感じてしまう。少なくともほんの数時間でも眠るこ
とができれば、今日と明日の間に深い切断線が横たわり、
それで新しく見える私を獲得できたような気にもなれる
のだが、
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