眠ることで/岡部淳太郎
 
が、寝床のなかで七転八倒して迎える朝にはそれは
得られない。だから私は赦されない。そんな気分で日を
やり過ごさなければならない。地の上にそそがれる火と
水と風のような、それ自体油のような厭わしさ。私はそ
うやって赦されずに、恥を知らずに生きてきたのかもし
れない。その昔、私は妹とよく死について話し合ってい
た。それが妹の生きる姿を消し去ってしまったのだと、
いまになって悔いているが、その頃の私は自らの内側に
降り積もる憂愁の枯葉に倣って、もっとも近しい存在で
ある妹に、そのことを話していたのだった。いまこうし
てもう何度目か数えきれない不眠の夜にまたしても巡り
あうと、狭い部
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