夭折(三篇)/岡部淳太郎
 

生きてはいないのに
まだ僕は 生きている

まだ生きている
君に先を越されたので
僕は夭折を諦める
かつては夏の寝苦しい夜のように
熱く憧れていたのだが
君を通り越してこれからも
まだ生きつづける

もう生きてはいない者よ
君の声を聞くことはもうなく
あらゆる場所で
あらゆるこれからの時間で僕は
まだ何とか 生きているだろう

もう生きてはいない
君の声を
夜の枕の中に聞こうとして
眠れずに
いまもまだ 起きている



夭折


昏い昼
昏い日常
広がる どこまでも広く 広がる

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