詩人の罪/岡部淳太郎
 
 本当は、こんな文章を書くべきではないのかもしれない。ましてやそれを発表するなどということは、絶対にしてはいけないことなのかもしれない。だが、時には書かなければいられないこともあるし、書かなければならないものが僕を待っている、そんなこともある。
 妹のことについて、書きたいと思う。ちょうど一年前の春、桜の花が咲く季節に、妹は死んだ。わずか三十三年の人生だった。妹と僕は、まるで友達のように仲の良い兄妹だった。どんな時でも僕の味方をしてくれた。その妹が死んだ。僕は突然一人っ子になってしまった。
 それ以前、妹が亡くなる前の数ヶ月間、僕は詩作においてスランプに陥っていた。駄目なものしか書けないのなら
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