面接(6)/虹村 凌
って、一息で飲み干した。心臓が冷たいまま、物凄い速さで脈打っている。呼吸も乱れている。ポケットに手を入れてから、煙草を切らせている事に気付き、俺は仕方なく歩き出した。家に着くまでにある自動販売機にコインを入れると、全てのボタンが赤く光った。何時も通り、セブンスターのボタンを押そうとして、指が止まった。少しためらった後、俺は黄色いピースのボタンを押した。カタン、と柔らかい音がして黄色いピースが落ちた。セロハンを剥がし、一本取り出して、火をつけた。いつもと違う香りが、広がる。自動販売機に寄りかかり、ピースを深く吸い込む。いつか、この匂いにも、慣れるんだろうか。そんな事を考えていた。
マンション
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