面接(7)/虹村 凌
風呂場から、浴槽にお湯が溜まっていく、柔らかく鈍重な音がする。俺はシャツを靴下を脱ぎ捨て、ズボンのベルトを外してから、買ったばかりのピースに火をつけた。柔らかい煙が、薄暗い部屋に広がっていった。カーテンの空いた窓から、すぐ傍を走り抜ける電車の窓明かりが差し込み、煙が部屋ごとチカチカと点滅した。
浴槽に溜まっていくお湯の音が、まるで遠くで起こっている出来事のように聞こえる。俺は、ぼーっと真っ赤に燃えるピースの先端を見つめていた。隣室のドアが開いたかと思ったら、俺の部屋の郵便受けに何かが投入された。どうせ、文句を書いた手紙とかだろう。見る気にもならないので、そのままにして、ピースを口に運んだ。何
[次のページ]
前 次 グループ"面接"
編 削 Point(1)