瞳/ふるる
 
ジェラルミンの鳥は片羽が壊れているのでギチギチギチギチ床をのたうちまわっています。わたしのセラミックの鱗もぱらりぱらりと解けつつあるので、寿命が近いと感じます。寿命。機械であるわたしの寿命。

できたての頃のわたしたそれは美しい人魚として売られていました。大きくて清潔な水槽の中で休むことなく泳ぎ回り。時にはプラスチックやアクリルでできたピンクやオレンジの魚たちと戯れ。わたしの鱗は光の当たる角度によって何色にも見えるので、皆ためいきをついてオーロラをまとったようなわたしの尾ひれを眺めるのです。光の戯れと言われた黄金の髪や。深い深い海よりももっと深い青のガラスの瞳を覗き込む人も絶えず。

わた
[次のページ]
   グループ"短いおはなし"
   Point(4)