生まれ変わり/ふるる
弟は人に触られるのが怖かった。触られると電気のようなものが走るし、よくないものがうつる気がしていた。ただ、兄だけは平気だった。
弟が足をくじいて一人では不自由した時、兄は黙って弟の支えとなってやった。
「なんでかな。兄さんは嫌じゃない。」弟はある時不思議そうに漏らした。
兄は考え込んだ。他人との接触のあの嫌がりよう。あれでは恋人はおろか結婚もままならぬ。
そんな時分、兄はある小話を耳にした。前世で添い遂げられなかった恋人同士は、生まれ変わった時にそれと分かるよう、約束をかわした相手以外には触れられぬのだと。
その話を、兄は素直に心にしまった。そういことも、あるかも知れぬ。再び男女で生まれ
[次のページ]
前 次 グループ"短いおはなし"
編 削 Point(3)