恋月 ぴのさんのひとことダイアリー
2012-09-07
支え合ってる そんな意思は無くても 何ひとつ愚痴を言うでもなく お互いの体を預け合い 雲の流れをやり過ごす 一粒の種に負けることもある それでも降りだした冷たい雨に堪えながら 支え合う 辿りついたこの...(以下略)
2012-09-06
鳴りやまない太鼓の音 あれが大阪の夜景さ 君は操縦かんから両手を放し 得意気な顔して振り向く 雲の切れ間から通天閣の灯りが見えて トントトコ トトントコ 寝ぼけ眼で食い倒れ人形が太鼓を叩く
2012-09-05
おしゃべりな密告者の呟きに耳をそばだて 黄色いダイヤの一粒を口に含む その甘酸っぱさに覚える 人生の在り様 別れたおんなの痩せこけた頬 これっぽっちだったのに それっぽっちだったのに
2012-09-04
放物線を掴み取る そいつが新しい時代の幕開けだからと がなりたてるマイクの先で ブリキの人形ひとりぼっち 嘘つきは嘘つきで これっぽちの真実さえ持ち合わせていないのだから ローンレンジャー 白馬から飛...(以下略)
2012-08-29
ハニーのスペルが判らなかったから 甘い蜜を吸うことはかなわなかった ホネイフラッシュ 眩しさに焦がれていたはずなのに 日蔭が棲み家とパンツを直す 誰かが救ってくれるとでも思っているのだろうか ホネイフ...(以下略)
2012-08-27
遠くのほうから声がして 秋が来たと言っているような それでも朝から汗を拭うのに忙しくて 乗り遅れた電車に懐かしい友だちが乗っていたのに気付く 遠くの方から声がして いずれは許されるのだからと言っている...(以下略)
2012-08-26
陽射しのなかを歩く 木陰を拾うとしても真上から照りつける夏の陽射しは容赦なくて 日傘を置き忘れてきたことを悔やむ 乾いた道筋に人の気配は見当たらず 蝉の鳴き声さえ 8月の暑さに耐え忍ぶばかりなのか う...(以下略)
2012-08-24
遠くへ投げたはずなのに 何時の間にかその古いボールは足もとに転がっていた そんなものなのかも知れない 鉄橋下には乗り捨てられた自転車 タイヤの空気はとうに抜けていて 持ち主は誰なんだろう 悪戯されたの...(以下略)
2012-08-22
残暑と言うには暑すぎるから 青空に向かってダイブする 撥ねあがる雲の多さは初心者の証 上手なら誰ひとり気づかぬうちに雲の上 ハンモックでうたた寝としゃれこむ 今だ! そう決意しても足元は覚束ないままで...(以下略)
2012-08-21
西瓜みたくに地球を割った ぷふっと不愉快な音を立てて真っ二つ これりゃ熟れすぎだなあ かと言って裏山のどっかに投げるわけにもいかず おかしく目鼻に口をくり貫いたら 軒先に地球をぶら下げる おや涼しげな...(以下略)
2012-08-20
いつの頃からか手を汚さなくなった 爪の間の汚れなど厭わなかった日々 懐かしくは思うものの 思い出は思い出のままで 外は雨模様 ひと雨ごとに訪れる秋の気配に 日焼けすることも無くなった指先をかざす
2012-08-19
マシュマロみたいな雲が浮かんでる ほんわかと優しげで 昨夕みせた荒ぶる姿はとても想像できなくて あれだけの雨降りだったのにね 緑は潤いを取り戻し伸びやかで 一瞬の出来事 総ては一瞬の出来事
2012-08-18
越えられなかったはずの壁を越えていた 振りかえったとしても何も見出せず そこにあったのは静けさを取り戻した浜辺を掠める海鳥の翼 これで良かったのか 虚しさに似た思いを捨てきれず赤く焼けた腕をさする
2012-08-17
なんだかなと思ってるうちに溜まりだす 台所のゴミといっしょだな せっせとレジ袋に詰め込んだら 旅に出るのが常套なんだろうけど 訪れがあれば去り行く後姿に萌えたりして 押入れから赤いザックを引っ張り出す
2012-08-16
柱の上を虹鱒が泳ぐ 風上に頭を向け 流れてくる雲を捉える 未来なんか要らなかったのだ 寄せ餌にと撒いた青空は 柱の上で秋風に揺れる
2012-08-15
遠くのほうから声がしたけど 聴こえないふりして 運河に架かった橋を渡る 西日に輝く水面は眩しくて ひとりなことを忘れさせてくれる 寂しさとは違うけど 渡りきるには未だ早いから 日暮れ前秋の予感と戯れる
2012-08-14
ダイスを転がすまでも無く 君と僕の人生は決まっていたのだから スポットライトの途絶えたリングの上で ふたり肩を組んで健闘をたたえ合うことに どれだけの意味を見出せば良いのだろう
2012-08-13
伸ばした手のひらをすり抜けるように グラスのなかで氷が弾け 君と一緒だね ふちに付いた口紅を小指で拭い 物憂げなため息ひとつ そんな夜もあって良いものだと 満月はそ知らぬ顔して雲に隠れた
2012-08-12
流れ星のかけらを拾った気がして あなたに逢えるかもなんて期待してみる 真夜中の噴水は小便小僧の寝顔みたいで 外灯下のベンチに座り あなたのくれた指輪にふれる 
2012-08-11
夢の架け橋を渡ろうとして アキアカネ舞う小道を歩む 目深にかぶった麦藁帽子 つばを軽く持ち上げて振り返る 歩んできた人生 この道で間違っていないのかと自らに問いて 乾いた喉を潤す 日暮れまではもう少し
2012-08-10
鉄の球を静かに転がす 日の出の気配を背中に覚え 鈍い光を放つ鉄の球を転がす これが君と僕の記憶の全てなら ひとを信じる難しさは巣立ち間近のひな鳥 風が恋しくて 君の残香のするシーツを畳む
2012-08-09
壊れたラッパを杖代わり 通いなれた道程なのに 君の待つ部屋に辿りつけない この交差点を越えれば いつまでも青に変わらない信号機の下 傘もささず立ちつくし ぷふふふ 壊れたラップを吹き鳴らす
2012-08-08
鍵穴から吹き出す風は生暖かく牝犬の臭いがした この鍵を差し込む歓びを求め どれほど算段したことか 虹色の楽器をつま弾き 丘の上の風車は回り出す
2012-08-07
その交差点は涙で濡れていて ときたま誰かが滑って転ぶ もらい泣きほどの身勝手さじゃないけど 出がけに傘を持っていくか迷うとき 交差点の角に佇むひとりの老女に思いは及ぶ
2012-08-06
月に1度その戸棚を開けて 慎ましく隠した分度器を下腹部にそえる 女は女であることから逃げられないのだから 可愛らしいレースの縁取りも許される筈と 年甲斐もない色合いの言葉を綴る
2012-08-05
袖を通す度に取れかかったボタンに気付く 私の形に染まってくれたブラウス ハンガーにかければ もうひとりの君が其処にいるね 目ざといあなたはそんな言葉を囁き 背後から抱きしめる指先で私の心をまさぐった
2012-08-04
糸の切れた凧 どこまでも飛んでいかずに 力無く堤防の手前に落ちてしまう 自由って怖いのかな いつも友人の顔を窺う私がいるし 丸刈りの夏草に隠れ家を失った雲雀たち 戸惑い顔で群れを成す
2012-08-03
いつまでも取り込めない洗濯物 時折り迷い込む夏の風に煽られ 悪戯な彼のしぐさを思い出し 打ち水の手桶に休むアキアカネ 気のせいか日暮れの早さに影を追う
2012-08-02
石畳みの坂道を歩む 牛車の通った緩やかな坂道 木陰の恋しい季節ゆえ 躊躇うそぶりに額の汗を拭い あれは陽炎 いつしかの恋の残像
2012-08-01
貼り損ねた切手みたいだと言われた ミシン目通りには行かなかった私の人生 他人行儀な挨拶に終始した手紙のように 馬追いの青空は底抜けではためく旗に肩透かしをくらう
2012-07-31
スターダストを聴きながら 落花生の殻を割る 瓜二つな純愛物語の顛末を偲び むき出しとなった肌かん坊の潔さ お皿に山盛りな殻の多さに呆れれば 夏の終りの花火が咲いた
2012-07-30
差し色は群青色と決めていた それは深い悲しみの集う色合い 断崖を駆け上がる波頭は夏景色を洗い 迷う草履を揃えられず 断ち切れないあたなへの思いを胸に抱いたまま 白い灯台に向かう曲がりくねった小道を歩む
2012-07-29
扉の影から未来を覗く それはごきげんようを繰り返すびっくり箱 ピエロが心配そうに見つめてた 誰か訪れたのだろうか 石蹴りのロウソク跡が波間に揺れる
2012-07-27
キサナドゥの伝説ってさ 伝説が伝説じゃなくなるところから人生ははじまっていて 色とりどりの旗打ち振られるなか 君と僕 手なんか繋いで 誰かと誰かのための未来なんてのを築こうとしている
2012-07-26
せめてもの開き直りと 折り畳んでいた翼を開き ラブミーテンダー ただそれだけのこと これまで生きてきた人生とあなたのぬくもり 交わす言葉をカタパルトに 流れる雲の優しさを掴む
2012-07-25
コップのなかの嵐を小指でかき回し やはり倦怠期なんだと気付かされ 寝首をかく幸せはiブックから溢れる黄金伝説 朽ち果てたエルドラードを胸いっぱいに抱きしめる
2012-07-24
根っこなんてはじめから無かった 泳げないのはいつものことで 穴のあいた浮き袋にしがみつき 太平洋ひとりぼっち それでも生きてきたし それでも幸せなはずだった
2012-07-23
過去と未来に渡した梯子を渡る たまにぐらぐら揺れたりして おっかなびっくりおどけてるようだけど しがみつく必要なんかないんだよね あっさりと梯子から飛び降りたら 日の出前 静かに満ちる夏の砂浜を歩む
2012-07-22
岩陰のイソギンチャク 誰かの帰りを待っている 夏の日差しは容赦なく そして頭上で舞う鳶ははげたかの群れにも似て 虐められたいわけじゃないけど 精一杯に伸ばした触覚の先 届かぬ思いの丈が波間に消える
2012-07-21
今さら悪い虫でもないけれど 足首に赤い虫刺され おんなはえてして押しには弱いとしても 思い出したような恋の痛みに あれ打ち水が 浴衣の裾を乱して鼻緒は歪む
2012-07-20
気が付いたら唇かんでる こんな私でも悔しさあるのかな 踏み出せないのはいつものことだけど 通いなれた道なのに遥か遠く感じられて 花の終わった紫陽花は静かに瞼を閉じていた 
2012-07-19
人生は綱渡りと腕を伸ばしてバランスを取る 何やら揶揄する声も聞こえてきそうだけど わたしはわたし 恥ずかしさに頬染めながらも 手のひらで沸き立つ雲のいがぐり頭撫でてやる
2012-07-18
片想いを鷲づかみして これが青春だなんて独りごちてみる やっぱ夏はスイカだよね そして真っ黒な種みたいな下心 鼻くそみたく穿って捨てる
2012-07-17
背中の甲羅を剥いて欲しいと頼まれた 小指の爪に甲羅を引っ掛け丁寧に剥き上げれば それはたわわと樹液を貯え 墓前に手を合わす そして剥き上がったばかりの男の背中を陽に晒した
2012-07-16
不器用な指先で恋物語をつづる 不幸な少女と優しくて勇気ある王子とのラヴロマンス、そんなたわいも無い恋物語 夏空に垣間見える秋の気配、忘れられないあなたの横顔
2012-07-15
雲の尻尾をエイヤっと掴む 幸せな日々は忘れっぽいのに不幸な想い出は、いつまでもチクチク心に突き刺さる 秋だよね、駆け足なあなたの背中を追いかけた
2012-07-14
ふんわりと雪の足跡を身体で包む それは溢れ出る悔し涙に天を仰いだ記憶 そして吊橋の欄干から手を離せなかった失望の甘い息遣い
2012-07-13
渡された缶の飲み口に唇を重ねる 脇の下に潜むオスの息遣いも不思議なくらい嫌じゃなくて 甘い液体を口に含んだまま誘うことばに頷いた
2012-07-12
長靴で水たまりを歩く 僅かな水位でも水圧は殊の他強くて 売り物になりそうもない貧相な大根二本で笑いを誘う
2012-07-11
人生の哀しみってやつを法蓮草と茹でてみる それは見た目にもしんなりとした色合いで 手付かずな茶碗の残る食卓を灯す
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