擬人化紙幣
あおば

                     2006/09/05

なにを書けば許されるのか
許されるわけもなし
なしじゃない、ない、だよ!
文語は駄目だよ、文語らしいのも
文語三十、二人菓子
着た切り雀の放し飼い
猫が西向く日和下駄
三寸延びたら秋が来た
10cmの補助具を付けて

キギギ ギ
だよ
ギ だよ
それしか方法がないんだよ

ギギギ

だよ

古新聞の中に隠した
擬人化紙幣を無くした男と女は
古狐を腰に巻いて子供のふりをして
暗いのを幸いに裏道を辿って逃げた
逃げる宛もないのだけれど
行くところがないから
古新聞に書いてあった
共同風呂付きのアパートに駆け込んで
大家さんと家賃のことでもめて
一週間経たないうちに・・・

似たものどおしが結婚して
子供が出来て
子供は困ってしまう
親は相思相愛だけれども
子供は孤独
何処に行ったら相思相愛の恋人が居るのかと
古新聞を広げて
擬人化紙幣を探し出し
ギギギ と ギ を引き連れて
共同風呂付きのアパートに駆け込んで
大家さんと家賃のことでもめて
一週間経たないうちに・・・

古狐は困ってしまう
今ではお稲荷さんの社も孤立化して
話し相手もなかなか見つからない
ギギキと観音開きを開けて
遊びに来る器量好しを待っていたら
社の後ろにもガラスのビルが林立して
そのうち
社ごと屋上に移転と言うことになりそうで
そうなると
ギギキといって入ってくる器量好しは居なくなる
ギギギと言いながら
悪態を付く子供達も居なくなる

古狐も考える
お金がないから
古新聞を探しだし
広げ
擬人化紙幣をコピーして
ギギギ と ギ を引き連れて
共同バストイレのアパートに駆け込んで
管理人さんと支払いでもめて
一週間経たないうちに・・・

猫のような顔になる。





自由詩 擬人化紙幣 Copyright あおば 2006-09-05 08:31:14
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