羊羹の裏
あおば




羊羹にお茶ならいつでも良いです。

主人公の猿飛佐助は
そう言って次のページで
みたらし団子を頬張って
子供達を羨ましがらせ
ジャイアンツの選手も好いけれど
真田の忍者になればお団子が食べられる
羊羹だっていつでも食べられるみたいだし
甲賀流の忍者になって真田十勇士になって
徳川家康を凹ませてみせるのだ

堅く心に誓った子供たちは
チャンバラごっに精を出し
野球のバットを質に入れ
大阪城を目指して歩き出す
そういう時代もありました

羊羹が欲しいのなら
欲しいと言ってくれなくちゃあ
お茶もコーヒーも飲み放題だし
三時までにはまだ間があるから
たまにはゆっくりしていったらと
おかあさんは
おとうさんに話しかけるのですが
古いマンガを見つけ出したのが
羊羹にお茶の始まりで
杉浦茂の全集を取りそろえ
朝から晩まで読みふけったので
おとうさんの顔した古狸も
羊羹は肉ではないと分かって
我慢しきれなくなって
つい尻尾を見せてしまう
それが運の尽きで
お気に入りの
家を追い出されるという
常に強引な
お笑いマンガのお終いは
少し興ざめなのです。



未詩・独白 羊羹の裏 Copyright あおば 2006-09-07 01:35:07
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