19個目の一里塚
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生まれた瞬間から歩いていた。
この道は
いつかは確かに終わるけれど
今は一人ぼっちの、
ただまっすぐな
道。

気がつけばいつも欲張って、
幾通りもの道を試してしまうよ
高望みを許さない路傍の石に足をくじかれれば、
振り返ってももう道はない

このまえ、
暗い洞窟の中で
イソギンチャクの、あなたのお墓に出会った
その美しい触手にすがりつき泣きながら、
振り返ればまた道はない

ああ
あそこに見えるは、
19個目の一里塚。
イソギンチャクを抱きながら
歯をくいしばって歩くのだ
今は一人の、
春の道。



自由詩 19個目の一里塚 Copyright as 2006-03-15 21:06:51
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