とこちゃん
あおば



とことことこ、とことことこ
とことこ走る、とこちゃんは
とんちんかんで欲深い
隣のお店のお孫さん

とことことこ、とことことこ
とことことミシンを踏んでいる
とぼけたふりのご亭主は
愛想いいけどぼったくる

とことことこ、とことことこ
どこでも突っつくニワトリさん
今日のおやつはなんですか
うちの子つつくはおやめなさい

とことことこ、とことことこ
とことこ、とこ、と、止まったよ
どこまでも登り道はきりがない
ガス欠の車窓に写る猿の群

とことことこ、とことことこ
どこへいくやらわからない
どこでもいいから連れてって
とこちゃんの先進国が溺れてる 



となりのお家は窓がない
となりのとなりは俺の家
となりにとこちゃん住んでいる
となりのとこちゃんだれのこと

とことこ走りでとこちゃんが
とことことことこやって来た
どこからみてもどこの子か
どこの国の子か判らない

とことこ走るとこちゃんは
どうしたわけか怒鳴られて
どうしていいか解らない
どこへ行っても叱られる

とことことことこここはどこ
とこちゃんはお国に帰りたい
ところがとこちゃん国がない
とこちゃんの国は何処にある

どこのどなたに聞いたのか
とこちゃんみなしご父母がない
とこちゃんはひとり残されて
とこちゃん影法師も盗まれた

とこちゃんは影を失って
どこへ行っても変わらない
とこちゃんひとり鈴鳴らし
どんどんどんどん歩いてる

とこちゃんとことこどこへいく
とこちゃんの行き着くとこは
どこにもあるよ此の世には
どなたさまにもわたしにも 




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初出 hi-ho 詩の談話室 20001/02/27


自由詩 とこちゃん Copyright あおば 2005-05-27 22:51:21
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