色のついた籾柄
あおば

一袋百五十円
色の付いた籾柄を
売っている

百円ショップの世の中に
百五十円では高い
五十円負ければ買ってもいいと
客のふりする
小父さん小母さんお姉さん
それと僕

バス代を倹約するために
一時間歩く
260円浮いた
のどが渇いたから
薄いお茶を飲む
残りは150円
色の付いた籾柄を
買おうとしたら
駅前なので
値段が上がって
3千円になっていた
もう買えない

パチンコチェーン店の
目映いヒカリの中では
物言わぬ群衆が
一心に球を弾く
儲かった人も
儲からなかった人もいるけど
嬉しそうな顔をした人がいない
外は
音楽が無いから
つまらない
退屈な顔をして
蹲る

時間稼ぎに
バス代を倹約して
もと居た場所の
色の付いた籾柄を
買いに戻りたい


自由詩 色のついた籾柄 Copyright あおば 2005-05-29 01:05:19
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