彼女という名の君はとても平たい
あおば



平たいのも道理です
なにしろ道は
遠く険しいのです
平たく言えば
剣呑なのです
陰険な企みを抱く
アスファルトの下に
発泡スチロールを敷き詰めて
加重強度を高める
そのような仕組みを
知ってか知らずか
ボサノバのリズムが流れる
今日のおやつは
ミルク色
褐色のケーキに
ハンドバックを買ってやる
喜ぶ顔を眺めて
あしたの糧にする
音楽は平たい方が
幸せのメロデーという気がするから
クラシックのコンチェルトや
シンフォニーは
丸めて捨てる
捨てられない思いは
ロードローラーで押し潰す
のっぺらぼーになった君は
今日からは
ぬりかべと
綽名される

期待はずれの
ゴーギャン
食べかけの
パウンドケーキ
崩れた
僕らの信頼を
咀嚼するのは
健啖家の
片思いだねと
白ウサギが
跳ねる






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初出 poenique 即興ゴルコンダ (2005/05/19)


未詩・独白 彼女という名の君はとても平たい Copyright あおば 2005-05-22 00:03:56
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