輪廻の果て
レタス

印度の行者が呟いた

ヒマラヤの少年が木立の上で聞いた鬼の歌

諸行無常しょぎょうむじょう 是生滅法ぜしょうめっぽう

少年はその続きが聞きたくて
鬼に言った
その続きを聞きたい と

鬼は オレは腹が減っている
お前を食べさせるのなら
最後まで歌おう

少年は覚悟を決め
命を捧げると言った

鬼が歌った 生滅滅己しょうめつめつち 寂滅為楽じゃくめついらく

少年は樹上から鬼に身を投げた
刹那に鬼は帝釈天に変貌し
少年を受け止めた と

行者は黙し
ガンジスの砂を数え始めた




※ 諸行無常 すべてのものは永遠不変なものではない
※ 是生滅法 これは生滅のことわりである
※ 生滅滅己 輪廻転生を何度も繰り返し滅し終わって
※ 寂滅為楽 悟りの境地に至り煩悩から解放される
 


自由詩 輪廻の果て Copyright レタス 2024-01-20 23:16:07
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