セフィニ
レタス

一滴ひとしずくの涙が
渓流たにとなり
やがて河となって海に溶けてゆく

若かったあの頃はとても純粋で
年が経つほどに灰色になって
ぼくには些細なことが当たり前になった

もう一度戻れるのなら
貧しくてもよかったあの頃に戻りたい

抱きしめたくても
きみへの路は遠すぎて
冬の星空に手を伸ばしても
届くはずもない

夢の中できみは眠れる森の少女のままで

ぼくは痩せたノラ猫のように震えていた

もう幕は下りたというのに



※セフィニ フランス語で お終い 終わりなどという言葉です。


自由詩 セフィニ Copyright レタス 2024-01-19 22:06:48
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