由比良 倖

愛着心の余りある感情に、時計の針を噛む、
キーボードは、とてもプラスチックで、かちゃかちゃ鳴るのがいいです、
待って欲しい!、って、ビーカーの赤い目盛りに声を掛けるみたいに、
舐めていく感情の舟に帆が立っていくし、
背中合わせに夕陽の魔法を詠み合っていれば、
私たちは物質という感情の副産物なんだって気が付くし、

みんな本質的には夜に住んでいるんだよ、夜の、海の底に、
愛情が私の夜に住み着けるかなんて分からないけれど、
理由なんて無く、泣く、浴槽の中にいて、
(愛は技術じゃないよ)愛は死だよ、
死ぬときになれば分かるよ、雨の下で、おふとんのなかで
ヘッドホンの中で、私は、赤い屋根の下で、
ライフルをマニュアル照準モードにして、
死ぬときになれば分かるよ、って
空の果てへ、最後の防波堤を、私は
今から撃ち放してやるつもりでいます、…


自由詩Copyright 由比良 倖 2023-10-09 21:26:33
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