永遠は
由比良 倖

宇宙の中と、銀河の中と、機械工場の中では、
同じ音が鳴っていて、
その中ではピンクの火花が弾けている。

そこにあって同時にここに無いもの、
例えば指先の痛み、
モミの樹の林の遠景、
桜の花びら、
夢、
サルビアの蜜、
庭土に刺さったガラス、
北欧の、世界平和の象徴としての青旗、

「夢の中でも一緒に」なんて、
世界を何処だと思っての発言だろう?
夢物語は、今のことだ。

魂の消失が怖い?
死への恐怖が僕たちを産んだ。
生存が同時に病気だとしたら?

何を求めている?
怖れが君の目から零れ落ち続けてる。

僕は本当は腕なんて切り落として構わないんだ。
身体は少ない方が効率的だから。
生なんて実のところどうだっていいんだ。
ただ君が生きろっていうから生きるくらいで。

君にも僕は生きろって言う。
もちろん言うさ。
僕だけが生きていたって仕方ないから。
君が存在している宇宙だから、

僕は好きなように生きるだけだ。
君もまた、好きなように生きていて。
(僕を嫌ったってもちろん構わない。と、言葉には出来ないけれど。)

眠りは青く甘い死の味がする。
その甘さは、ちょっと感動的だ。
南へと遠い、朝陽の中を鳴る、森並みの風のように、
その中を歩く子供たちのように。

僕たちの中にも、海底温泉があって、
生活という罠や傷は、そこで癒やせるようになっている。
時間が必要、って言うだろう?
眠る時間だよ。後悔のための時間じゃない。

そこでは僕たちは花なんだ。
そう、君もいる。
たそがれるようなオレンジ色の永遠ではない。
海の底は澄んでいる。

そこにずっと僕たちはいたし、
誰も彼もがいる。根っこの部分では、
繋がっている。だから分かるんだ。
海の底で何年過ぎたと思う?

宇宙は繰り返す。
眠りは繰り返さない。
眠りは一度きりの全て。
宇宙は波のよう。

僕を中心とした、同時に君を中心とした、
岸辺で、宇宙は何度も何度も、
何度も砕け続ける。
雨音のように。

僕は僕を消えたい。
つまり消えることが、
在り続けることの、
唯一の形式だから。

僕は僕の、夢なのだから。

でも、生きていて、
どうせなら、優しい気持ちでいたい。

ここは、君の夢でもあるのだから。

遠い、遠い、遠い場所を歌う。
永遠はここにあるから。

今、ここに、君の隣りに。


自由詩 永遠は Copyright 由比良 倖 2023-10-05 12:54:28
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