理性
由比良 倖
ドアチャイムが鳴ると、
私の体液が震える。
脳髄までが孤独になったような、
ひょっとしたら私の終わり、
私は上の空、
上の空で生きてる、
苦みの空で、
ひとり泡立つ身体を抱える。
歌が、私を解体していく。
言葉が、音楽が、
私をここではない場所に運んでいく。
私の体液が震え、
内蔵が震え、
性別や細胞や感覚が、
ゆっくりと混ざり合うのを聴いている。
そこで私は私の身体を引きちぎり、
命日のように差す紫外線に、
私の旋律をかざした。
私の脳膜にはもう正常な場所がない。
ここではない場所に私がいて、……
理性、
いつでも私を殺してくれ。
自由詩
理性
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由比良 倖
2023-10-04 10:46:27
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