幻想の庭
ひだかたけし

幻想の庭に咲く
赤々と艶やかな大輪の花を
呪い殺すように千切って
淡い光跡を残し貴女は沈む
深く澄んだ泉の底へ
湧き出る清水はこんこんと
幻想の庭を打ち壊し

なにが訪れたのだろうか
なにが到来したのだろうか
未だ虚ろなわたしの意識に

夜明けを告げる鐘が鳴る
無と有の狭間に横たわり
人は深い夢からの覚醒を望む

移ろいゆく世界、確実に刻まれる時
衰弱は突然やって来る
その時、君は
澄んだ泉の
渦巻く深淵を観る

幻想の庭に赤々と咲く大輪の花
千切り去るのは誰だったか
軽やかに柔らかく響く声は
神々の痕跡を刻印し
この世界の内へ呑まれていく


高まり鳴る夜明けの鐘、込み上げ湧出する予感の水脈













自由詩 幻想の庭 Copyright ひだかたけし 2022-09-06 19:11:33
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