赤いスニーカー
小原あき

私はきみを見つけられない
運動会で
通学路で
秋の遠足で
みんなおんなじ格好
赤いスニーカーだけが目印

毎朝、玄関で
ギーギー鳴らして靴紐をしめる
ダイヤル式のスニーカー
みんなが持ってて
やっと手に入れたスニーカー
赤い色はお父さんとおんなじ

行ってきます、で
きみの世界は
私の知らないところにも広がっていく
私の知らない世界のきみは
私の知らないきみだ

赤いスニーカーだけが
私にきみを
知らせてくれる






自由詩 赤いスニーカー Copyright 小原あき 2022-09-06 21:32:45
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