料理で俳句⑩サザエ
SDGs

本日のお品書き~サザエ~


 壺焼きの落し蓋さへある手柄


 なぜだろう、いまサザエが爆安だ。逗子のスーパー「スズキヤ」で、小ぶりだが六個で五百円台。一個百円しない。まさか養殖したりはしないだろうし。揺れる小舟を器用に操りながら、箱眼鏡と長いヤスを使って漁をする姿を海岸から見かけるが、あれは大変な作業だ。しかも寒風の中だから芯から冷えることだろう。

 とはいえサザエは「安かろう、旨かろう」だから、毎回二パック十二個は求めることになる。家族は「またか!」と渋い顔をするが、食ったあとは先の言葉をすっかり忘れて「もうないの?」とくる。漁に出て、とってこい。

 サザエとくれば壺焼き、と相場は決まっていて夏ならそうするが、冬の今は「煮びたし」か「ニンニク&オリーブオイル焼き」にする。煮びたしなら熱燗がいい。ニンニク&オリーブオイル焼きなら白ワイン、それも「ローマの生一本」と勝手に呼んでいる辛口のフラスカティが合う。このワインは微発泡の炭酸水サン・ペレグリノで割ってもうまい。ゴクゴクいける。

 作り方はどちらも簡単。「煮びたし」は鍋にサザエの蓋側を下にして、日本酒と醬油で強火で十分ほど煮る。煮えたら、そのまま放置。三十分後くらいに取り出して食べる。サザエの蓋は外れているものも多く食べやすい。

「ニンニク&オリーブオイル焼き」はフライパンにサザエの蓋側を上にして置き、サザエの中の水分が沸騰してきたらオリーブを注ぎ、ニンニクのみじん切りをのせ、さらに焼く。ニンニクがそこそこ炒まって香りがオリーブオイルに移ったら、フライパンごと食卓へ。なぜフライパンを使うのかというと、直火に網だとオリーブがこぼれ出て、キッチンは火と煙に包まれ、煙探知機の警報音が鳴る「火事です、火事です」。お気をつけください。

 そういえば下関の実家が海のガソリンスタンド(漁船に重油を供給する)をやっていたが、昔、夏前になるとサザエを積んだ長崎は五島の漁船が重油を補給しに立ち寄ることがあった。「どこまで運ぶの?」と聞くと「江ノ島まで」と言っていた。湘南・江ノ島名物のサザエの壷焼きは長崎産でありました。名物ってそんなもんなのよね。


俳句 料理で俳句⑩サザエ Copyright SDGs 2021-02-22 08:49:06
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