料理で俳句⑥天婦羅
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本日のお品書き~天婦羅~


 天婦羅は衣を揚げよ鯊に塩


天婦羅は油料理などと、見た目に騙されている御仁が全国津々浦々にいるようだが。蒸し料理なんですな、実に、これが。衣は油をネタに触れさせないための蔽い。と、同時に水分の補給。でもって180度の油で水分を高温の水蒸気に。鯊(はぜ)は旨みをかかえたまま蒸しあがるって寸法さね。

東京・日本橋茅場町に「みかわ」という名店があって、天婦羅のコツをご教授ねがったら、「そうでございますね。美味しくなるまで揚げて、不味くなる直前に(油から)引き上げることですかな」。天婦羅を食わすかわりに、人を食うらしい。一子相伝の暗黙知。聞くのも野暮ってもんですな。どちらさんもたまには旨いもんを食わんと、人は食えませんぜ。

*ところがこの一子相伝もなかなかむつかしいようで、茅場町のみかわを子に譲ったものの、味がもうひとつ気に入らないということで、親父さん自ら門前仲町に「みかわ是山居」という店を開いて、こちらのほうが人気。むつかしいもんだね。京都祇園南側にあった名店「初花」も息子の代になっていい評判を聞かない。味は一子相伝しないのかしら。どちらの店も長嶋茂雄と一茂状態。さみしいね。

祇園「初花」。カウンターだけ五席の小ていな店だったが、あれは実にいい店だった。三人でお昼に入って料理とお酒を堪能し、お勘定を!というと「十七万円」どした。


俳句 料理で俳句⑥天婦羅 Copyright SDGs 2021-02-16 17:29:03
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