料理で俳句⑤チャンポン
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本日のお品書き~チャンポン~


 チャンポンの具に秩序失せ世の乱れ


いまはもう思い出でしかないが、下関という町は食い物のうまいところだった。その背景には永く大陸への玄関口だったことがあるのだろう。

その頃のことだから(いつ頃?笑)イタリアンなんて無粋な食いものはなかったが、唯一フランス料理を大和町の「水産会館」で出した。小学生の頃何度か連れて行かれたが、左右上のナイフフォークスプーンの三段重ねは実に晴れがましいものだった。クリスマスプディングなる火のついた重苦しいケーキに出会ったのはその後のケーキ嫌いになる発端だった。おお、もう半世紀以上も前のことだ。

しかし本当にうまかったのは中華料理。なんでもうまかった。中華第一楼という料理屋が駅近くにあり台湾育ちの母に外出の度に連れて行かれた。ここの味が絶品だった。その後東京に出た時、銀座二丁目の地下にその名前を発見したが未だ訪れていない。経験はトレースすることの失望を教えてくれている。

中華の味は、下関の味でもある。ふぐ料理を自分でつくるほどだが、しかしあのチャンポンの味だけは再現できない。(チャンポンは中華か?の異論はあろうが)具はキャベツ・もやし・イカゲソ・豚肉・エビ・なるとの細切り・きぬさや。これ以外使ってはならない。コーンなんぞ入れるなよ(怒)。

チャンポンといえば「登喜和荘」。その名が示すように旅館なのだが、玄関口に卓がありチャンポンを出した。当時、明武谷という相撲取り(別名:人間クレーン)が巡業で宿泊しており、鴨居をくぐって、ぬっと顔を出した。

東の国に来て、一度チャンポンを注文して一口、箸を置いた。それ以来チャンポンは幻の料理名である。






俳句 料理で俳句⑤チャンポン Copyright SDGs 2021-02-13 21:03:42
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