"知"のおぞましさについて
一輪車

一般に"知"というものは無条件にいいものだ、正しいものだと思われている。
しかし"知"だけが、
いいですか? "知"だけが、倫理的に醜いものであることは"知"を売り物にしている人たちの振る舞いを見ればわかる。
たとえばこの国の論壇で"リベラル"といわれている論者たち。朝日やNHKなんかに顔出して
人の道を説く人たちことですが。内田樹だの辺見庸だの、あるいは宮台真司だの......(ああ、こんな名前を出すだけで憂鬱だ)
こういう人たちはなぜかいつも無謬なんですね。みずからは一点の曇りもない位置から
人々を非難する。あるいは政治や社会を批判する。権力者、たとえばトランプ大統領ならトランプ大統領を批判する。
そのとき
こういう人たちの"知"とはどんなものなのでしょう?
"知"は、いつも、必ずもっとも正しく善いポジションに立とうとする。
まるでボクサーが顔を防御するかのように本能的な動きだ。
リベラルはなぜか無謬で一点の曇りもない位置から語っている。表情は満足げで自信に満ちている。
それはいわば"知"の動きとして自然であるわけだ、つまりちっとも「知的」ではなく知の本能的、動物的な動きでしかない。
その動物的、本能的な"知"の動き=倫理的にもっとも善いポジションに立とうとする本能に対して
だれか一度でも疑念を覚えた人はいないのだろうか?
たとえば反知性の象徴とみられているトランプならどうだろうか?
トランプは一度だって倫理的に良き者として振る舞ったことはなかった。
倫理的に善き者のポジションに立とうとはしなかった。インタビューを受ければ
「弱肉強食。勝つか敗けるかだ」という。
しかし、トランプは、たとえば無名時代に命をかけて挑戦したニューヨークの名門、コドモアホテルの再開発、
(つまりはのちにトランプの名声を初めて世に喧伝することになった大事業、)
この再開発の目玉であるホテル改修の総監督を任せたのはまだ若い無名の女性だった。こんなことは当時の米国ではだれも考えもしないことで
トランプは無名の女性建築家、それも若い駆け出しの建築家にすべてを任せたのだ。
また当時、米国は不況の只中にあり、ニューヨーク市でも大勢の市警察官が解雇されて巷に失業者があふれていた。
そのときトランプがボディガードに雇ったのは失職した黒人のしがない元警官だった。
こんなことも黒人差別が色濃く残っていた当時では画期的なことだったろう。
女性差別も黒人差別もトランプには無縁だった。
でもトランプ一度だってそれを自慢したことはない。
若い女性の建築家に、自分の将来を賭けることも、黒人の元警官に命を預けることも
すべては冷徹な商売人の目でそう判断しただけのことだからだ。
かれや彼女が若い女性であるとか黒人であるとかまったく眼中にない。要は使えるかどうかだった。
冷徹なプラグマチズムに差別など入り込む隙間などない。能力第一主義。つまりトランプはもともと差別に無縁の男だった。
それほど商売に冷徹な男だった。
それなのになぜかリベラル知識人たちからはトランプが差別主義者だと喧伝されている。
トランプが黒人やプエトルコやメキシコ人たちから愛されてなければ大統領選で8千万もの票をとれるわけがない。
その中心は白人ではない。
トランプタワーの建設現場ではポーランドからの不法移民がたくさん働いていた。
それを攻撃したのもいわゆる良識的な言論人だった。
低い賃金で雇われてもそれでなんとか糊口をしのげるのに、言論人の良識のせいでポーランド移民の建築作業員たちが
職を解かれても飢えて死ぬだけだった。
しかし、リベラルを標榜する言論人たちはかれらの餓死には責任を負わない。じぶんを無謬の場所に置いてだれかを非難することしかできない。
じぶんの影についてまったく関心も興味もないというより、じぶんの影については考えたこともないようなのだ。
このような知の愚劣な一面が
いまでは世界中を、隅々までくまなく覆っている。いわゆる"ポリティカルコレクトネス"という欺瞞。
これは文字通り"政治的正しさ"であって"倫理的正しさ"ではない。
弱者を抑圧するために正しさや正義や良識が使われているのだから、まさに政治的正しさでしかない。
そういうふうに"知"はいつも政治的に"正しさ"を狡猾に利用してきた。
そのことに気づかず、詩壇の詩人どももこの"政治的正しさ"を鼻の穴をふくらませてふりまわしている。
たとえば何かというと無意味に韓国朝鮮人を出す荒川洋治など、朝鮮人のことなど、わたしの千分の一もリアルには知らないだろう。それはこの男の
すぐに朝鮮人を持ち出す言説の中味の薄っぺらい愚劣さをみればわかる。
しかしいまの文壇詩壇ではこの手の問題を口にすれば評価される。
"知"はけっしてみずからの犯罪性、愚かさ、醜さを振り返ったり反省したことがない。
それがいずれ世界を滅ぼすだろう。今現在、犯罪組織でしかない中国共産党という連中(共産党でもなんでもない。ただの犯罪組織であり、未開の王政国家だが)
それを世界中のリベラル連中が暗黙に擁護している。日本の愚かで愚劣なリベラルもそうだ。それは
出版資本というしがない資本にすがっている詩人どもも、じつは、その出版資本を支えているのが
世界のグローバリズム資本つまりはその基盤である中国共産党という王政国家と結びついた巨大資本であることを
どこかで承知しているからなのだろうか。
わたしたち人類はいずれ"知"によって滅ぼされる。





散文(批評随筆小説等) "知"のおぞましさについて Copyright 一輪車 2020-12-24 02:46:26
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