浜辺の椅子
鳴神夭花
海が哭いている
どうしようもないまま
化石になってしまった硝子の靴を
くじらに食べさせたくなくて
哭いている
幾億の涙を
取りこぼしてきたくせに
哭いている
走り出す間もなく
珊瑚は砕け散って
鰯たちの囁き声
噂話はいるかを伝って
何処までも
海が哭いている
君への呪いを抱えながら
もう転がり始めたものを止められなくて
哭いている
自由詩
浜辺の椅子
Copyright
鳴神夭花
2020-12-02 14:10:29