人魚のリボン
鳴神夭花

やわらかな求肥みたいなことばにくるんでみせたって
きみが最悪なことには変わりがないよ
僕のことを思ってるって、
それはきみのことを思っているの間違いだろう
そんな使い古された手をまだ使うの
僕は信じがたいよ

海にかえって
言葉もうしなって
僕らはそういういきものだった
きみはそれを忘れてしまった

それでも、
良かったけれど

同じ白いリボンを
先に捨てたのはきみでしょう
なら僕は
きみのそれを拾ってやることなんてしなくて良いよね

賞味期限の切れたきみが
海にもかえれずに
言葉もうしなえずに
ただ脚が痛いまま
ナイフも持てないで
蹲ることも許されないで踊り続けるのを

僕はきっと
海で忘れるよ


自由詩 人魚のリボン Copyright 鳴神夭花 2021-03-10 19:58:25
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