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竜門勇気


五行山(ごんごいさん)、という言葉を聞いたことはありますか?

また新たに回り始めた方には耳触りない不思議な文言に思えるでしょうし、もはや独りでに爪が減るような方にとっては回るものすら今やいない御票であることが判ってうんざり、とお思いでしょうね。
六山、七山(ひちやん)とたどって亀などの鱗をまとってすら結局この道を歩き続ける宿塔に恨んでこそあれ、尚筋を深めようとまで思わないとは思います。
しかし、五行山(ごんごいさん)はまだあって、継ぐのはあなたであることだって十分考えられます。

オン ゴンゴイ大明神

オン ソンノエ大明神

みだりにもって乱れる世に離れなさい
シバレを触りなさい、整えなさい
オン ゴンゴイ大明神
オン ゴンゴエ大明神

あなたの母は、母である前に何者だったでしょうか
今、あなたの母であるものはかつて母ではなかったのです
そのようにして、非常に悲しいことに、あなたは宿命の槍によって、
一瞬の加護という麻酔を、心のなかの、不可侵の場所で、
そうと知らずに、愛している
愛するものが何者か、愛さなかった全てについて知らないみたいに
そうともわからず、誰かすらわからず
街の中で不明の線香の香りを嗅いで
だぶりまくる経験を頭の後ろで抱えて歩く

五行山(ごんごいさん)はあなたがかつていた場所ですよ
爪を切りすぎた夜があれば、通り過ぎた場所に一土(いっと)があると涙を置いて
遠くの街で女が死んだと聞けば、両黃(りゃんぎ)に間に合わぬと走り回る
うだつの裏で男が死んだと伝え聞く
三噛(さんが)してへそを見る
シバレを結んだ産婆たち 葉は山で見つけなさい
石を探すときはうつむきなさい
オン コドロエ大明神
オン ゴンゴイ大明神

おどれらの箸で掴んだもので決まるんど
知らぬとおっしゃろうが決まるまでのことも知っとるんで
部品で大物を語りたがるようになるじゃろう
ほれでも壊れたものを集めて一人で城をなそうとしてはいけんで
せえでも作るじゃろう
大きゅうて頑丈で灰色のものでできとる
おどれらの橋を渡ってくるものがおる
顔を見て話をせえよ
顔を見ずにしたものを溜め込むなよ
後の窓では顧みられんぞ
開きもせん窓が物を言うぞ
その言を今ちいとばかり告げるのぞ
わしは窓の向こうのものであろうぞ
それがしゃべるのぞ

オン シバノノに舞を謹んで床に置きましょう
真由美観音、オン カカカビ サン マエイ ソワカ
成仏レールに月をむすんで新たに
真由美観音、オン カカカビ サン マエイ ソワカ

おどれらの手の垢を数えるのぞ
何を握ってきたのか
閻魔に申し開くんぜ
おどれもやるんぞ
手の垢を数えておくよう
よろしくやれよ
庭で枯れたものが成仏じゃ
一人でもうけたものが家じゃ



散文(批評随筆小説等) agreewaxv Copyright 竜門勇気 2020-06-22 19:10:14
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