真夏の秘密
塔野夏子

真夏という結界が解けないうちに
その中で身体の輪郭が
虹色に光っているうちに
口づけを交わすがいい
せつなく囁き交わすがいい

夢幻のようであればあるほど
あざやかに灼きつく一刻一刻

遠雷の不穏な響きさえ
甘やかなおののきと化して

真夏という結界が解けるまでの
狂おしく果敢はかない儀式に
すべてを捧げ尽くすがいい
醒めた後の果てない空虚を
かなしく予感しているとしても





自由詩 真夏の秘密 Copyright 塔野夏子 2019-08-09 22:40:27
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