最後の夢の架け橋
秋葉竹



逢いに、飢えているのか。

冬の間、まるで導火線の火花を撒き散らし
恋心を待ち続ける歌を歌うのか。

水平線の朝日の静かだがゴシックで
低く刻まれる音がゆらぎながら、ゴゴゴゴゴ、と
まるで 、とあるマンガの効果音のように描かれるのか。

針の涙をこらえない黙った水夫の漕ぐ小舟は
忘れられた歌詞を思い出そうとする努力によって
前進している即席のモーターの回転音まで
聴こえている振りをする海の中に飛ぶ魚の夢を見るのか。

灯台の光を発する断崖から見た
遠く沖をゆく小舟に乗る銀髪のふたりの
少年少女のよっつの瞳は絡み合い感情が増し
上目遣いの男の子を誘う目を向けて微笑む
女の子の求めに応じようというのか。

それを夢も希望も大海原に棄てたというなら
とんだ導火線、撒き散らかされた火花が恋待ち草。
ただ逢いたいだけだったのに
そんな下手くそな詩の話みたいに世界の
終わりにさえなんの役にも立たない人は
やっぱり、フフフフフ、って小さく笑うんだ。

それから、大空高くに架かる大きな虹を見上げている。
小さな声で恋心の歌を口ずさみながら。


自由詩 最後の夢の架け橋 Copyright 秋葉竹 2019-02-22 23:11:57
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