謝罪会見
ドライ運河

なにもかもが気に入らなくて
そりゃもう怒っている
憂いて嘆いて喚き散らし
どのようなドレスコードも間違っているような気さえする
本当は
熟れきったシングルマザーのことを考えている
にも関わらず
温泉の効能を詐称し、石ころに難癖をつけ、鼻毛が伸びる理由を知りたがり
小規模な悪事を誇るような
フリをしつつ
電池切れのおもちゃをダンボール箱に投げ入れる日々

囲いの向こうで園児たちが遊んでいる
ボールを取ってあげるチャンスを伺っている俺
なかなか飛んでこないから痺れを切らし動き出す
飛んできたのはなんとお巡りさん
ご苦労さまです
お疲れさまです
お巡りさんと小一時間談笑して
晴れやかな気持ちになったとさ

バリアフリーの建物の階段で
一段上にいるか
一段下にいるか
そんなに大事なことなのか
ここが日本のガザ地区ならよかったのか
イタチとヘビとカメとウサギとサルとカニとカツミヤマダ
イタチとヘビとカメとウサギとサルとカニとカツミヤマダ

話がしたい
共通の言語が
ほしい
たったひとつの冴えない言葉がほしい
たった一人、堰を切ったように喋り続けるのではなく
いややっぱり
嘘です
俺だけがずっと話していたい
ごめんなさい


自由詩 謝罪会見 Copyright ドライ運河 2019-02-02 19:46:39
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