家族
いっと

あなたの言葉は
表面を滑りながら
いつも
知らない
誰かのために放たれていた
たどたどしく、伝えても
遮ぎられて
あなたには届かない
雨粒に穿たれる石のように
心はなめらかに
すり減っていく

時が経って
気付くと
わたしとあなたで
共有するものが
減っていた

少しずつ他人になっていく

あなたのためと言われて
わたしはいなくなって
あなたの声も聞こえなくなって
わたしは家を出て
あなたはわたしになって
そして
誰もいなくなって

ここに残るもの
あなたの影、わたしの吐息、

いつの日かまた孵る
きっとあなたの元に生まれる


自由詩 家族 Copyright いっと 2019-02-02 17:43:52
notebook Home 戻る  過去 未来