茜色の雲
Lucy

茜色の雲から
茜色が抜けていくのを眺めていた
わずかの間に光を失い
灰色の雲に戻っていく

その色を目に焼き付けて
覚えておこうと思ったのに
ほんの少し
視線をそらせただけで
もう どの雲だったかわからない

あれほど
会いたくて
忘れられなかったのに
あのひとがどんなに素敵だったかも
思い出せない

あの高い所を
最後まで輝きながら泳いでた
小さな薄い雲

いつまでも消えないはずの
痛みだった




自由詩 茜色の雲 Copyright Lucy 2018-11-28 16:28:32
notebook Home 戻る  過去 未来