登山
小卒

山に登っている
高い高い山に登っている
一人じゃない
みんな登っている

上は曇っていて見えない
下は歩いてきた道がそのまま崖になる
登る 登る 登る
歩き続けなければならない

そして登りに登って周りに誰もいなくなったころ
山頂にたどり着くこともなく
夢半ばで力尽きる
もう一歩も動けなくなるだろう

しかし分かることがある
きっと山頂の幻を見る
その幻影を目の前にして
あと一歩なのにと歯噛みする
そしてそのまま悔しさと幸福を抱きしめて
消えてゆくのだ

また雪が降ってきた


自由詩 登山 Copyright 小卒 2018-11-28 18:13:40
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